町田市  「子どもの権利」明確に 条例 5月5日施行 町田市

子ども生活部子ども総務課の大坪直之さん

子どもにとっての最善の利益が優先して考慮され、幸せに暮らせる「こどもにやさしいまち」の実現を目指す「町田市子どもにやさしいまち条例(コドマチ条例(ルール))」が5月5日に施行される。「子どもの権利条約」にある4つの「子どもの権利」について、大人にも子どもにわかるように示したもの。その権利を守るための大人の責務を明確にしている。担当者は「子どもの権利を知り、守ってほしい」と話す。

大人の責務も

条例では「子どもの権利」と「大人の責務」を明らかにすることで、子どもがそれぞれの違いを認められ、ありのままの自分でいられる「子どもにやさしいまち」を目指すとしている。日常のさまざまな事柄が子どもを中心に考えられるとともに、子ども自ら考え、意見を表明し、社会で尊重されることが重要とされる。

一方、総人口に占める子どもの割合は年々減少。市によると2023年4月には11・5パーセントと、記録の残る中で最低値となった。子どもの意見が聞こえにくく、尊重されにくくなってしまうことが懸念される。

そのような中、大人に求められるのは子どもの権利を知り、理解し、守ること。「大人が知らないと、子どもの権利を掲げても意味がない」と市子ども総務課の担当者。子どもが生きやすい社会のためには「皆で大切にするのが重要。『子どもだから』ということにとらわれず、意見を聞いてほしい」と話す。

今回の条例で大人の守るべきとした子どもの権利は、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4つ。これまで大人が子どもに対し向き合う時の軸になる考えがはっきりしていなかったが今回、理念条例として責務を明確化したことで子どもに対してより手厚く向き合えるようになることが期待される。大人とは保護者や施設関係者、市のほかに、地域住民や事業者も含まれている。

96年から

市は1996年に「町田市子ども憲章」を作成。子どもによる自らの生き方に対する宣言として制定し、これを契機として子どもの参画が開始。市内各地に子どもセンターが生まれ、運営ルールなどを話し合う組織が誕生した。

またユニセフ(国連児童基金)から「児童の権利に関する条約」を日本らしく具現化していく自治体として承認されるなど、子どもについてのさまざまな取り組みを行ってきた。これらを引き継いだ上で、子どもにやさしいまち条例を考案。関わる資料作成の際にも「大人だけで作ると、不十分では」として、検討段階から高校生や大学生の意見が取り入れられている。

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