新潟水俣病の被害を訴える原告らが国と原因企業の旧昭和電工に対し、損害賠償などを求めた第5次訴訟は18日に判決が言い渡されました。新潟地裁は、原告47人のうち半数以上を新潟水俣病と認定したものの国の責任は認めませんでした。
判決前、原告団と支援者が集会を開き、新潟水俣病第5次訴訟の皆川栄一原告団長が声をあげました。
■皆川栄一原告団長
「原告の私たちにとっては長い10年の戦いでありました。必ずやいい結果が出ていることを信じてこれから入廷に入りたいと思います。」
提訴は2013年。これまで新潟水俣病と認定されず、国の救済も受けられなかった人たちが国や旧昭和電工に対し1人当たり880万円の損害賠償を求めました。原告側は、メチル水銀に汚染された阿賀野川の魚を食べた人たちに手足のしびれや視野狭窄など様々な神経症状が出たと訴えてきました。
■皆川栄一原告団長
「すべての患者がまだいることを認識してもらいたいすべての人を救うべく努力してもらいたい。」
この10年の間に31人の原告が亡くなりました。現在149人の原告がいますが、先に審理を終えた47人が新潟地裁で判決を迎えました。
裁判が開始されたのは、18日午後1時半すぎ。
判決が言い渡されると、原告側は地裁前で「多数水俣病と認める」という旗と、一方で「国の責任を認めず」と記した旗を掲げました。判決で新潟地裁の鈴木雄輔裁判長は、原告47人のうち26人については「新潟水俣病にり患している高度の蓋然性が認められる」として原因企業の旧昭和電工に1人あたり400万円の支払いを命じました。一方で、大きな争点の1つとなっていた国の責任については、「新潟水俣病の健康被害を具体的に予見しえたとは言えない」として認めませんでした。
判決後、原告らは記者会見を開き、悔しさをにじませました。
■皆川栄一原告団長
「私たちは全員救済をうったえてきたわけですけども、残念ながら一部が認められなかった。」
国の責任が認められなかったことについては。
■皆川栄一原告団長
「何回も裁判で戦ってきた国に責任についてまた今回も負けたのかと思うと悔しい涙が出ます。」
今回の判決では、皆川原告団長は、水俣病患者の1人として認められました。
■皆川栄一原告団長
「1人で格闘して自分は名乗りでないで10年間もすごしてきた、本当に悔しい気持ちが今回ようやく認められたという気持ち。」
全被害者の救済法確立を求めていた原告団にとってひとつの大きな節目を迎えました。
■原告側弁護団 味岡申宰団長
「国の患者切り捨ては断罪された、これは国の救済の仕組みを変えさせる理由になる。3判決は国の政策を転換させる大きな力になる。」
■原告側弁護団 中村周而弁護士
「人権救済の問題の観点から早急に水俣病問題の取り組みを強めたい。」
環境省は、判決を受けて「今後とも公害健康被害補償法の丁寧な運用を積み重ねていく」とコメントしています。