「同級生リメイクCSver」プレイレポート:ヒロインが彼氏持ちだったりと、古き良き90年代の恋愛ゲームの雰囲気がしっかり残っている良リメイク

2024年4月18日に発売されたPS4/Nintendo Switch用ソフト「同級生リメイクCSver」のプレイレポートをお届けする。

「同級生」は1992年12月17日にエルフから発売された恋愛アドベンチャーゲーム。PCエンジンやセガサターンにも移植されたため、そちらでプレイしたユーザーも多いのではないだろうか。

※画像は旧作のもの。

本作は2021年2月26日に発売された「同級生リメイク」のコンシューマ版となる。「同級生」はアダルト表現がメインのストーリーに密接に関係するキャラクターが多く、コンシューマに移植できるのか不安もあったが、実際にプレイしたところ、違和感なくシーンが繋がっており、きちんと楽しめた。

たとえば、本作では保健医の斎藤真子と看護師の草薙やよいというキャラクターがいるが、彼女たちのルートを進めるには夜の街で働く成瀬かおりというヒロインと肉体の関係を持つことで、主人公の陰茎に痛みができるという展開に。保険医の真子に相談し、病院に行くことでやよいとの仲が進展するという流れになっているが、コンシューマ版では変わらない。グラフィックは一般向けに修正されているが、それぞれの場面でどのようなことをしているのかしっかり分かるようになっている。

そもそもとして「同級生」自体が1992年当時の自由なノリで作られた作品であるため、今回のリメイクではマイルドな表現に差し変わっている部分も多い。ただ、しっかり意味が通じる別の単語に差し替えられていたり、そのまま表現が変わっていない部分も残っていたりと、丁寧にアレンジされていることが分かる。エンディングクレジットには、シナリオ監修として多彩な作品を手がけるシナリオライター・もみあげルパンRさんの名前が記載されており、丁寧な仕事に感心させられた。

ゲーム自体は、マップを選択して女の子と出会い、交流していくオールドタイプのシステム。リメイク版には“イージーモード”が搭載されており、ヒロインの重要なイベントがどこで起きるのか確認できるほか、クリックすることで直接そのイベントに飛ぶことができる。

本作はヒロインを同時に攻略しなければルートに進めないので、基本的には攻略サイトとにらめっこをしながら進めていくことになるものの、イージーモードなら手軽に遊ぶことが可能だ。ただ、本作はメインのストーリーと関係ない、ちょっとしたイベントがエッジが効いていて楽しかったりするので、ぜひ隅々まで堪能してみてもらいたいところだ。

イージーモードはヒロインがどの場所にいるのかアイコンで表示されているが、“クラシックモード”に切り替えることでアイコンの表示を消すこともできる。こちらはオリジナル版に近い感覚で、少しずつ地道に攻略していく楽しみも味わえる。

今回、ゲームを一通りのエンディングまでプレイして感じたのは、今の主流となる恋愛アドベンチャーゲームとの違い。彼氏のいる女性から恋愛の相談を持ち掛けられ、そのまま自分が彼女と恋人になる展開や、ナンパで出会った女の子と親密になったりと、純愛を意識させる現代の作品よりも軽いノリであることが分かる。ツッコミどころは多いものの、欲望に忠実で型破りな主人公は清々しさがある。

また、ヒロインたちも交流を深めていくことで等身大の悩みを抱えていることが分かったり、意外な過去が判明したりと、どのキャラクターも魅力的だ。なお、ヒロインは14人ほど存在しており、「同級生」というタイトルでありながら年上が多いのが特徴。これは年上が人気だった当時の流行もあるのだろう。

とはいえ、良家のお嬢様である桜木舞や陸上部で勝気な性格をした田中美沙、中学時代からの腐れ縁である黒川さとみといった同級生のヒロインも多く、彼女たちとは青春ならではの眩しいストーリーが展開する。声優陣はリメイクにあたり一新されているが、筆者の感覚では原作のイメージを損なうことなく、各声優陣たちの魅力も伝わる芝居をしていると感じた。

キャスティングはイメージ通りでありつつ、声優陣の新たな魅力を引き出しているものも。“同級生リメイク生放送第1回”で田中美沙さん役の猫村ゆきさんは「ボーイッシュで口の悪い女の子を演じたことがなかったので、(演じるのが)自分でいいのかなと思った」と振り返っているとおり、新鮮な芝居も楽しめる。

ゲームプレイは先述の通り、各ヒロインのフラグが密接に関係してくる。関係の深いヒロイン同士はもちろん、まったく関係のないヒロインがフラグになっていることもあり、同時に複数のヒロインのストーリーを進めるのが前提となる。各ヒロインのルートを順番にプレイする昨今の恋愛アドベンチャーに慣れている人は、戸惑うかもしれないが、このフラグ管理がストーリーを進めるためのパズルだと割り切ることができれば楽しいはずだ。

本作自体がナンパゲームとして開発されたものの、ユーザーからは恋愛ゲームとして評価され、続く「同級生2」からは恋愛ゲームとして、より方向を舵切りした経緯がある。「おバカだなー」と笑ってしまうシーン以上に、感動するシーンも多く、今でも楽しめる作品になっている。

リメイクのグラフィックを担当しているのはすめらぎ琥珀さん。竹井正樹さんによるオリジナルの雰囲気を残しつつ、魅力的にヒロインを描いている。CGや立ち絵だけでなく、背景の描写も美しいのでぜひじっくり鑑賞して欲しい。

本作をプレイすれば「同級生」がなぜこれだけ長く愛され続けているのか分かるはず。ぜひ多くの人に遊んでみてほしい1本だ。

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