専門家に聞く「県全体で改めて備えを」「高知もこれだけ揺れるということ」【高知・愛媛で震度6弱】

夜遅くに突然、高知県宿毛市を襲った震度6弱の地震。なぜこれだけ大きな揺れになったのか、今回の地震を踏まえ南海トラフ地震に備えるため改めて今、わたしたちに何ができるのか、専門家に話を聞きました。

県内で史上初めて観測された震度6弱の強い揺れ。地盤工学が専門の高知大学の原忠教授は大きな揺れとなった要因について、まず震源が比較的、陸地に近かったことをあげました。

(高知大学 原忠教授)
「震源から約100キロくらいの場所というのは、あまり地震動のエネルギーが小さくならないというふうに言われているので、そういう意味では宿毛ですとか愛南ですとか豊後水道のどっちかというと四国寄りで起こったので、四国地方に少し大きなエネルギーが当然入りますし、地表の揺れというのはエネルギーが大きいので揺れるとしたがって震度6弱を観測した」

そしてもう1つのポイントとしてあげたのが、宿毛市の『地盤』です。

(高知大学 原忠教授)
「例えば松田川ですとか与市明川ですとか、そういう川があって河口付近でどうしても地盤が脆弱になるんです。そういうところは同じ揺れが入っても余計振幅が大きくなるようなそういうところでありますので(大きく揺れた)」

一方で、強い揺れだったにも関わらず、人的な被害はほとんど出ていない今回の地震。原教授は、発生時間帯が夜遅かったためと考えています。しかし同時に「地震はいつ起きるかわからないもの」という事実を、改めて認識すべきだと話します。

(高知大学 原忠教授)
「何よりいつ起こるかわかりませんので、やっぱり時間を問わずにこういう大きな揺れがあるということが、やはり今回の事実でございますので、いつ何時こういうことが起こるということも踏まえて準備を怠らないというのが必要でしょう」

震源の位置や弱い地盤などによって震度6弱という大きな揺れになった今回の地震。原教授は南海トラフ地震の発生が予想される以上、宿毛市だけでなく県全体が地震に対する備えの意識を改めて持つべきだと話します。

(高知大学 原忠教授)
「南海トラフ地震というのは宿毛に限らず、四国全体をフォーカスするような断層の破壊が起こると言われています。これは過去もそういうことが起きています。そうするとスポット的に被害が生じるのではなくて、県全体に被害が生じるわけですよね」

津波からの避難や浸水対策などに注目が行きがちな南海トラフ地震対策ですが、能登半島地震で多くの住宅が倒壊した教訓も踏まえ、自分たちが住む地域の地盤や住宅耐震など「揺れ」への対策を改めて考えるタイミングです。

(高知大学 原忠教授)
「そういう(弱い)地盤の状況というのが、たくさん高知にもあるわけですから、自分のお住いの所の地盤がどういうものかというのを改めて今回を機に見直していただくことが必要じゃないか」

© 株式会社テレビ高知