「賄賂ではない。献身だった」国立病院機構京都医療センター収賄事件の初公判、医師側は無罪主張

京都地裁

 国立病院機構京都医療センター(京都市伏見区)で診療を優遇する見返りに患者から現金を受け取ったとして、収賄と独立行政法人国立病院機構法違反などの罪に問われた、同センターの元外科診療科長で医師の男(55)=退職=の初公判が18日、京都地裁(川上宏裁判長)であった。弁護側は「医師の立場を離れ私的に行ったことで賄賂ではない」として無罪を主張した。

 起訴状によると、被告は同センターに勤務していた2022年3月18日、患者だった城陽市の男性(74)=贈賄罪で有罪=らを優遇する見返りに現金150万円を受領。同5月31日~6月20日、別の患者の病状や治療内容などを男性に3回漏えいしたなどとしている。

 検察側は冒頭陳述で、被告は男性の求めに応じ、別の患者の病状を伝え、男性やその親族らの診療予約を手配したと指摘。「月50万円の顧問料を渡す」と言われて承諾した、と述べた。

 弁護側は、現金の受領は争わないとした一方、被告は男性から息子同然に扱われていたと説明。「男性のわがままでセンターに迷惑をかけるのを避けようと要望を聞いた。(仮の)親族としての献身だった」とし、収賄には当たらないとした。

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