未払い料金があるなどと架空の話をして金をだまし取る「架空料金請求詐欺」の被害が今、増加しています。NTTファイナンスをかたる詐欺に注意が必要です。
「+」マーク付きの着信に折り返してみると…
【留守番電話の音声】
「NTTファイナンスより重要なお知らせです。現在ご利用中の電話回線にて未納料金が発生しているため、法的措置へ移行します。オペレーターへおつなぎする場合は1を押してください」
テレビ愛知の社員の携帯電話に残されていた「留守番電話のメッセージ」です。発信者を見てみると、「+」マークのあとに1844と続いています。「+1」はアメリカやカナダの国番号のため、国際電話でかかってきたことが分かります。着信があった翌日、折り返してみると…
【電話の音声】
「この電話番号は現在使われておりません」
つながりませんでした。一体どういうことなのか、愛知県警生活安全総務課の担当者に話を聞くと…
尾崎昭裕警部:
「架空料金請求詐欺の典型的なパターンだと思います。犯人は足がつかないようにするために、国際電話を使ってかけてくる事が非常に多いです」
※「崎」のつくりは「立」に「可」
NTTファイナンスの公式ホームページを見てみると、「NTTファイナンスを名乗る架空料金請求詐欺にご注意ください」と注意書きが掲載されていて、「国際電話を使って、客に連絡を取ることはない」とも書かれています。
2023年の架空料金請求詐欺の認知件数は344件 2022年の約1.9倍
名古屋市に住む40代の男性。3月末、仕事中にNTTファイナンスを語る男から直接電話があり、5分ほど通話をしたと言います。履歴を見せてもらうと、やはり国際電話を表すプラスマークが…
名古屋市在住40代男性:
「スマートニュースのアプリを使っているという事で、(利用料金が)1年分くらい滞納があるから、すぐに支払いをしないと訴訟になるという話でしたね。全く身に覚えがなかったので、向こうはメールに請求書がいっているはずだと言ってきたので、どのメールアドレスですか? て何度も確認したら電話を切られました。あ~、まだこんなの(詐欺の電話)実際にやってる人いるんだって、同僚と笑いながら話してました」
この男性の場合は、すぐに詐欺だと気が付くことができたと言いますが、愛知県内では実際に、NTTファイナンスを語る詐欺の電話で金をだまし取られる被害が発生しています。
愛知県警によると、2024年1月には、名古屋市に住む60代の男性が、「携帯電話の番号が犯罪に使われ、被害者から訴訟を起こされている」などと嘘の電話を受け、現金あわせて180万円をだまし取られる被害がありました。
愛知県内では2024年に入り3月末までに、NTTファイナンスを語る詐欺が既に9件発生していて、被害総額は約1300万円に上っています。また2023年1年間の架空料金請求詐欺の認知件数は344件で、2022年の約1.9倍にまで増加しています。
被害を防ぐには「冷静なファクトチェック」
なぜ架空料金請求詐欺の被害が後を絶たないのか。専門家は誰もが被害に遭う可能性があると、警鐘を鳴らします。
立正大学心理学部 西田公昭教授:
「不安や恐怖を煽られると、人は判断を狂わされるものです。全く身に覚えのない話ならば、不安も恐怖も喚起しないが、”もしかしたらあれが”と、どなたも当てはまる可能性がある。思い当たる人に対して詐欺の電話が入ってくると、”えっ、もしかしたら”となる。そこに訴訟という言葉が相手から出てくると当然怖い。それに対応しなければいけないと咄嗟の判断を求められて、誤ってしまうという心理が基本にあるわけです」
では、どのようにすれば、被害を防げるのでしょうか。
西田教授:
「冷静にファクトチェックです。どういう会社名を使ったか、どういう担当だったかなどをちゃんと確認する必要がある。会社の名称を公式ホームページなどで調べること。それをやれば偽物か本物かはかなり明瞭になると思います」
“詐欺被害の防止機能付き”電話機で被害を防げ
警察官:
「犯人は録音されていると聞くと、自分の声が残っちゃうので捕まる可能性が高いと思って、基本的には電話を切るんですね」
相次ぐ特殊詐欺の被害を防ごうと、蒲郡市の家電量販店で4月18日、詐欺被害の防止機能がついた電話機の活用を呼び掛けるイベントが行われました。
例えばこちらの電話機…
【電話機の音声】
「ただ今、振り込め詐欺対策モードになっています。恐れ入りますが、あなたの名前をおっしゃってください」
電話をかけた側にはこのような自動音声が流れ、受ける側は相手の声を聞いた上で、電話に出るかどうかを決める事ができます。防犯機能付きの電話に買い替えを決めた人は…
60代男性:
「今の電話機は変な電話がいっぱいかかってくる。(防止機能付き電話は)システムがしっかりしているので、(今後は)詐欺電話には出ないようにしたい」
蒲郡警察署生活安全課 守田哲朗課長:
「詐欺の被害に遭わないと思っている人でも、犯人と直接話をしてしまうと詐欺被害に遭ってしまうので、被害防止機能付きの電話機を活用してほしい」