「1失点はある意味仕方ないのでは?」と訊かれて即座に否定した大迫啓介。強いこだわりを生んだ“高校時代の苦い経験”【広島】

今季のサンフレッチェ広島はJ1リーグの8試合を終えて4勝4分の2位で、総得点はリーグ最多タイの「13」、総失点がリーグ最少の「4」とここまで好成績を残している。

今季の広島はアグレッシブなサッカーをしており、J1で突き抜ける存在になれそうな期待感がある。そこで、守護神の大迫啓介に訊いてみた。「ここから突き抜けるために何が必要ですか?」と。すると、実にシンプルな答が返ってきた。

「自分的には失点をなくすことだと思います」

そして、こう続けた。

「今季ここまで無失点試合はそこまで多くないので。チームとして点は取れているので、あとは僕たちがどれだけ踏ん張れるか。1-0で勝つ試合を増やせれば、もっと勝点は伸びます」

無失点に抑えられれば理想だ。ただ、サッカーにおいて不運な形で1失点しまうケースは多々ある。なので「1失点はある意味仕方ないのでは?」と返してみる。すると、大迫は即座に「いやいや」と否定した。

「自分はとにかくゼロにこだわっています。今季は例年よりもリーグ戦の試合数が多くて、得失点差で勝負がつく可能性もあります。高校の時は得失点差1でプレミアリーグWEST制覇を逃がしていますから、無失点にこだわりたいです」

高校時代の苦い経験が、その強いこだわりを生む一因になっているのだろう。ここまでのリーグ最少失点にも「いえいえ」とまるで満足する様子がなかった大迫。鉄壁の守備で、いずれ広島を突き抜けた存在にしてほしい。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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