霧島市福山で特産の黒酢が春の仕込みシーズンを迎えている。18日、坂元醸造のつぼ畑では甘酸っぱい香りが漂う中、職人がつぼ一つ一つに原料を入れていた。6月末まで続く。
職人は4人一組となり、混ぜこうじと蒸し米、地下水を7分目まで注ぎ入れ、仕上げにこうじを振りかける。仕込み後は週1回、発酵の進み具合を確かめながら世話をしてじっくり熟成させる。黒酢になるまでには仕込みから1年以上かかるという。
つぼ造りの黒酢は、江戸時代から200年以上続く。同社は、市内10カ所計5万2000個のつぼで、毎年春と秋に仕込む。坂元宏昭醸造技師長(50)は「まろやかな味わいは、つぼ造りでしか出せない。丹精込めて熟成させ、おいしい黒酢を全国に届けたい」と話した。