EU向けホタテ水揚げ期間延長 6月産まで輸出可能に 青森県、検査体制見直し衛生基準クリア

 青森県は18日、陸奥湾東部海域(平内町東田沢-むつ市脇野沢)で、これまで1~3月に限られていた欧州連合(EU)輸出向けホタテガイの水揚げ期間を6月半ばまで延長すると発表した。県の検査体制を見直し、EUの衛生基準をクリアした。中国の日本産水産物禁輸措置を受け、代替輸出先として他国・他地域への販路拡大を求めていた県内の加工業者からは「大きな一歩」と歓迎する声が聞かれた。

 貝毒発生のリスクが低い1~3月は出荷に向けた検査を月1回実施しているが、4月以降はホタテに貝毒がたまりやすいため、海の環境変化に応じて検査の頻度を週1回に増やす。陸奥湾では4~6月に漁業者が半成貝(1年貝)水揚げの繁忙期を迎えるため、これまではEU輸出の検査に必要な漁業者の漁船を確保することが難しかった。

 一方で、加工業者からは県に対し、中国の禁輸措置を受けて代替輸出先の開拓支援を訴える声が上がっていた。県は国や各漁協などと協議して国内向けの検査結果をEU向けにも活用できる方法を導入し、検査の効率化を図ったとしている。基準値を超える貝毒などが検出された場合は、水揚げができる期間中でも出荷を取りやめる。

 宮下宗一郎知事は「漁業者や加工業者には大いに活用していただきたい」とコメントした。

 県内加工業者の担当者は取材に「これほどスピーディーに輸出できる時期が広がるとは思っていなかった。輸出先が中国一辺倒になっていたので、EU向けの拡大へ大きな一歩」とメリットを強調。今年は昨夏の高水温被害の影響で水揚げ量が減少しており輸出に向けられる数量は不透明だが、「少しでも4~6月の実績を残し、来年度以降につなげていければ」と語った。

 EUにホタテを輸出するためには、生産から流通までEUの衛生基準を満たさなければならない。県水産振興課によると、県内でEU向けホタテの衛生基準を満たしているのは、東部海域の川内町、むつ市、横浜町、野辺地町の4漁協と、平内町漁協清水川支所の1支所。加工業者は、7社がEU輸出に対応している。陸奥湾西部は、生産海域の指定を受けていない。

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