死亡の男性、発見前夜は都内に 那須の遺棄事件、現場付近の防犯カメラに不審な車両 事情聴取で「仕事上のトラブル」

2人の焼損遺体が見つかった遺棄現場=17日午後5時、那須町伊王野

 栃木県那須町伊王野の河川敷で男女2人の焼損遺体が見つかった死体遺棄事件で、事件発覚前日の15日午後9時過ぎに被害男性の姿が東京都内の防犯カメラに写っていたことが18日、捜査関係者への取材で分かった。遺体が見つかった16日早朝にかけて事件に巻き込まれたとみられる。また同日午前4時過ぎには、遺棄現場から約1.5キロ手前の道路沿いの防犯カメラに、現場方向へ向かう黒っぽい不審な車が映っていたことも判明。30分ほどで戻る様子も確認されており、県警は死体遺棄に関与した可能性があるとみて捜査している。

 県警によると、死亡したのは東京都台東区が本籍地で住所、職業不詳の男性(55)と、40~60代の女性。女性の身元は分かっていない。

 男性は同区を中心に飲食店などを複数店経営していた。捜査関係者などによると、事件発覚の約10時間前、都内の防犯カメラに男性の姿が映っていたことが判明した。

 司法解剖の結果、2人の首には絞められたような皮下出血の痕があり、死因は首を圧迫された窒息死だった。女性の頭部には複数箇所の骨折があり、鈍器のようなもので複数回殴られたとみられる。

 県警は都内にいた男性が15日午後9時以降に事件に巻き込まれて殺害され、那須町伊王野の河川敷に遺体を遺棄された可能性があるとみて捜査。複数人の関与を視野に入れている。

 17日には20代の男性が都内の警察署へ出頭。県警は任意で事情聴取した。男性は「仕事上のトラブルがあった」などと説明したという。県警は死亡した男性の交友関係を調べるとともに、関係者ら複数人から事情を聴いている。

 事件は16日午前6時50分ごろに発覚。通報を受けた那須塩原署員が2人の焼損遺体を発見した。捜査関係者などによると、遺体の足は結束バンドで縛られた状態で、顔に袋のようなものをかぶせられ、その上から粘着テープが何重にも巻かれていた。

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