高校野球、新基準バットに大量不適合製品 センバツでも使用、肉厚薄く反発力高い“飛ぶ”バットに

 高校野球、新基準バットに大量不適合製品 ※写真はイメージです(Asphalt_STANKOVICH/stock.adobe.com)

 日本高野連は18日、大阪市内で記者会見を開き、今春から導入された新基準の低反発バットにおいて、安全性を示す製品安全協会の「SGマーク」の基準に適合しない5社の製品が市場に出回っていたことを発表した。会見には情報提供を受けた製品安全協会と製造元の株式会社SSプロダクトが同席。今春センバツでも出場5校が基準外のバットを使用していたことが確認された。

 “低反発バット元年”を迎えた高校野球界に激震が走った。基準外のバットが混同されながら第96回選抜高校野球大会は幕を閉じ、開催中の各地区の春季大会にも影響が及ぶ事態。製造元の株式会社SSプロダクト・波多陽祐社長は深々と頭を下げた。

 「大変申し訳ございません。工場側が品質管理を甘く見ていたところがあった」

 XANAX社、三共スポーツ社、ハイゴールド社、イソノ社、ボルテカ社のメーカー5社が同社に製造を委託し、中国の工場で作られた中で不適合のバットが生産された。基準は打球部の圧縮試験時に1ミリ変位させるときの力が6000N以上と定め、結果的に4ミリ程度の肉厚が求められる。だが、不適合製品は5300N程度の軽い力で変位し、打球部の肉厚は約3.5ミリと薄く作製。基準よりも反発力が高いバットが高校球児の手に渡った。

 製造元は2022年9月の認証時は基準をクリアしていたが、23年9月に量産体制に入ってから仕様が変わったことを認識。昨年11月から今年3月の納品で計3351本の不適合バットが市場に流通し、日本高野連が加盟校に無料配布した約1万2000本中にも2510本混ざっていた。

 製品安全協会は製造元に出荷停止と改善処置を命令。5社は自主回収し、製造元は「賠償する」と説明した。日本高野連は配布した不適合バットの交換を行い、19日から基準外バットの使用禁止を明言。井本亘事務局長は「極めて重大な違反」と話した。

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