レンコン掘り泥に異変 「まるで重り」粘土質化で重労働に 河北潟干拓地

レンコンを収穫する生産者。一部で泥が以前より粘土質になり、収穫作業に時間がかかっている=金沢市の河北潟干拓地

  ●地震影響?1日収穫2割減

 河北潟干拓地周辺で加賀野菜「加賀れんこん」を育てる複数の生産者から「レンコンを掘りづらくなった」との声が上がっている。能登半島地震後、泥が粘土質になったり、泥の中に砂が混じったりするようになり、収穫が以前に増して重労働に。中には1日当たりの収量が25%減少したケースもある。生産者は地震で何らかの変化が起きたとみるが、専門家にも詳しい原因は分かっておらず、「ずっとこのままだったらどうしよう」と不安を募らせている。

 「まるで重りを付けて作業しとるみたい。明らかにしんどくなった。毎日ぐったりです」。金沢市湖南町にある50アールの畑でレンコンを栽培する農家森谷豊さん(52)は、疲れ切った表情で話した。

 異変に気付いたのは3月下旬、畑の北半分の収穫作業に取りかかった時だった。「1歩進む度に泥が締まり、脚にまとわり付く感覚がした」と森谷さん。収穫に従来より時間がかかるようになり、地震前は300キロ超だった1日の収量が220キロほどに落ち込む日もあった。

 一帯の畑では、ホースから水を出しながら水圧でレンコンを掘る「水堀り」が行われている。この道43年のベテラン髙山晃二さん(66)によると、地震後は一部で泥中に砂が混じり、水が砂に阻まれて思うように掘ることができなくなった。

 髙山さんの知り合いの農家の中には「収穫の難易度が上がり、大事なレンコンを折ってしまった」と嘆く人もいた。さらに、表皮がこすれて紫色の跡が付き、廃棄せざるを得ないレンコンも増えたという。

  ●対策打ちようがない

 レンコンの収穫は5月末までで、今季の収量に大きな影響はないとみられるが、8月には次のシーズンを控える。髙山さんは異変に気付く農家が今後さらに増えるかもしれないとし「何かがおかしいのは間違いないが、変化が目に見えづらく、理由も分からない。対策の打ちようがない」ともどかしさを募らせた。

  ●現地で原因調査へ 金大・塚脇教授(地質学)

 河北潟干拓地周辺の土質が変化した理由は分かっていない。河北潟干拓地では地震で液状化現象が起こったが、金大の塚脇真二教授(地質学)は北國新聞社の取材に「液状化現象は砂地でしか起こらず、泥そのものの質が変化したとは考えにくい」と説明した。

 ただ、レンコン畑の地下に砂地の土壌がある場合は「液状化した砂が泥の中に流入し、何らかの変化を及ぼした可能性がある」と指摘。詳しい原因を突き止めるため、近く現地調査を行うとした。

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