阪神のサヨナラ勝利は投手の我慢と梅野のリードによるところが大きい 評論家が指摘

 1回を投げ終え、グラブをたたきながらベンチに戻る西勇(撮影・中田匡峻)

 「阪神2-1巨人」(18日、甲子園球場)

 阪神は延長十回無死満塁から、精彩を欠いていた佐藤輝明内野手の右前打で今季初のサヨナラ勝ちを収めた。チームは引き分けを挟んで今季初の3連勝、勝率5割に復帰した。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は「投手の我慢とリードによる勝利」と指摘した。

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 阪神としては、非常に大きい勝利になった。試合を決めた佐藤輝、2安打を放ち勝利に貢献した森下と、調子の上がらないクリーンアップが結果を残した延長でのサヨナラ勝ち。しかし、やはりバッテリーあっての5割復帰だったと強く感じる試合でもあった。

 先発陣、リリーフ陣いずれもずっと安定しているからこそ、大きな得点力を望めずともこの位置にいられる。この日の西勇も、二回に先制点は許したが、以降は危なげない投球で試合を作った。

 現状、投手陣が我慢するしかない試合は続く。打線がつながる日を待つしかない。しかもクリーンアップが不調であれば、相手投手はさらに気分が乗る。この日の菅野がそうだ。それ以上の我慢が阪神投手陣には必要で、それを西勇からの投手陣がやってのけた。

 ただ、そこを引っ張った梅野のリードは大いに評価したい。自軍の得点力に自信がなければ通常は“守りのリード”で大きな失点を防ぎたくなる。ところが梅野は前日から『ここで行くの?』というタイミングでインコースを突くサインを何度も出した。つまり、リードで攻めた。見逃せない勝因だ。

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