無視できない大きさの影響なら政策変更もあり得る=円安で日銀総裁

Takahiko Wada

[19日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は19日、米ワシントンで開かれた20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、円安による輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率に影響を与える可能性に言及し、「無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変更もあり得る」と語った。

植田総裁は、25─26日の金融政策決定会合で議論する新しい「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で1月以降の円安の影響を分析をすると説明。「現状その辺りをどう分析しているか、来週の新しい展望リポートの中で取り上げて数値的にも示せる」と述べた。

会見には鈴木俊一財務相も出席し、今回の訪米の成果として日韓・日米・日米韓の枠組みで為替について緊密な意思疎通ができたことを挙げた。日米韓財務相会合が初めて実現し、幅広い協力をうたった共同声明をまとめることができたのは「画期的な成果だった」と語った。

鈴木財務相は、主要7カ国(G7)の共同声明で、為替の過度な変動は経済に悪影響を与えるとしたコミットメントを確認できたことも「意味があった」とした。G20では為替の議論はなかったものの、「米金利が高い中で資金が流出する、ドル建ての債務が膨らむなどの懸念を述べた国はあった」と説明した。

また、国際通貨基金(IMF)のクリシュナ・スリニバーサン・アジア太平洋局長が足元の円安について、日米の金利差を主に反映していると述べたことについて、「為替の水準は金利差だけで決まるわけではない」と語った。「国際収支などの経済状況、市場参加者のセンチメント、投機などさまざまな要因がある」とした。

植田総裁は、3月の政策変更について各国に説明したことを明らかにした。その上で「市場などに大きな混乱なく政策変更が消化されつつあると安ど感を示していた」と述べた。

(和田崇彦、山口貴也 編集:久保信博)

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