中日本高速東京支社/東名多摩川橋更新事業の床版取り換え大詰め、可視化技術で効率化

中日本高速道路東京支社が、東名高速道路の東京IC~東名川崎IC間に架かる東名多摩川橋(東京都世田谷区、川崎市多摩区)で進めているリニューアル事業で、床版取り換え工事が大詰めを迎えている。少ない車線規制で床版を設置する部分架設を実施して交通への影響を抑えている。シミュレーション技術を使って施工計画を分かりやすく作業員に周知し、工事のさらなる効率化に努めている。
東名多摩川橋は1968年に開通して以来、50年以上が経過する。老朽化の解消を狙い、2021年11月にリニューアル工事に着手した。橋長495メートル、幅員31メートルの片側3車線。大林組・大林道路JVが施工する。
工事に伴って生じる渋滞を極力減らすため、上り線から下り線にかけて部分的に交通規制を行って床版を架設する「分割断面床版取替」を推進。縦7・5メートル、横2・5メートル(重量約10トン)の床版を「移動床版仮設機」(ハイウェイストライダー)で計1000枚架設する。現時点で約800枚を設置済みで、全体の進捗率は約65%という。
高速道路工事は通過交通など危険箇所が多く、業務効率をいかに高めるかが求められる。現場では大林組とトヨタ自動車未来創生センターの2社が共同開発を進めている施工シミュレーターを東名高速の現場で初めて導入。施工手順などを作業員が事前に共有し無駄のない施工を心掛けている。人数を増やしても大きな効果を得られないと判断し、4班だった施工体制を3班に見直すなど初期の延べ労働時間に比べて約2割の省力化を実現した。
現場では現在、計200人が昼夜2交代で作業に当たっている。11月中の工事完了を目指している。18日には報道機関に現場が公開された。同支社は「多摩川橋の現場で施工シミュレーターを使ってさまざまなデータを取得し、他の現場にも適用できるかを検討」(花房秀樹横浜保全・サービスセンター更新工事担当専任課長)する方針だ。

© 日刊建設工業新聞社