成和リニューアルワークス/大容量蓄電池で再エネ事業展開、3年後の商用化目指す

大成建設のグループ会社で基礎工事や建設用機械の製造などを手掛ける成和リニューアルワークスは、太陽光発電と蓄電池設備をパッケージで提供する新事業に乗り出す。山間部の工事現場や電力供給が難しい被災地などさまざまな場所での有効活用を見据える。自社工場に導入し効果の検証を始めた。3年後の商用化を目指す。
蓄電池にはレドックスフロー電池を用いる。同電池はタンク内の電解液(硫酸バナジウム)がポンプで循環することで化学反応を起こし、電力を蓄える仕組みだ。充放電を繰り返してもほぼ劣化せず、20年以上使用できる。BCP(事業継続計画)対応として、停電時は電池内のバックアップ電源でポンプを動かし、充放電できる。硫酸バナジウムは不燃性で電池の部品にも難燃性の材料を使用し、火災のリスクを抑えた。出力と電池容量を独立して調整できるため、柔軟な設備設計や運用が可能だ。
同社は、自社工場の成和RW機械センター(埼玉県行田市)内に、住友電気工業製レドックスフロー電池設備を設置し、今月運用を始めた。容量は160キロワット時。電池と併せて、工場屋根に425ワットの太陽光パネルを288枚設置した。太陽光による発電量が電力使用量を上回る時は電池へ充電し、電力需要が高い時は電池から放電して電力を供給。工場内の使用電力の約60%を賄える。
自社での実績を踏まえ、広く販売やリースを展開する方向だ。定置式に加え移動式も検討する。
成和リニューアルワークスの金森研二社長は「2024年度から3カ年の中期経営計画の3年目から商用化できればと考えている。建設業にこだわらず、広い目で(顧客を)探したい」との方針を示す。幸長茂雄取締役は「レドックスフロー電池は水力や風力発電設備にも対応する。発展途上国へ展開すれば国際貢献にもなる」と展望する。

© 日刊建設工業新聞社