ネットフリックス、会員数公表停止へ 1─3月大幅増も株価下落

Lisa Richwine Dawn Chmielewski

[ロサンゼルス 18日 ロイター] - 米動画配信サービス大手ネットフリックスは18日、四半期ごとの新規会員数公表を停止すると発表した。動画配信市場の競争の中で、長年実現してきた会員数の伸びが鈍化することを示す決定と受け止められている。

第1・四半期決算(1─3月)は新規会員数が2四半期連続で市場予想を上回った。ただ、第2・四半期の売上高見通しが市場予想を下回り、株価は引け後の時間外取引で4.2%下落した。

第1・四半期の新規会員数は930万人と市場予想(約500万人)の2倍近い伸びを記録。広告付きプランが寄与した。3月末の会員総数は2億6960万人となった。

一方、第2・四半期の売上高予想は94億9000万ドルと、アナリスト予想の95億3700万ドルを下回った。

ネットフリックスは2025年第1・四半期から四半期ごとの新規会員数開示をやめ、節目に達した場合のみ発表する方針を明らかにした。

グレッグ・ピーターズ共同最高経営責任者(CEO)は「事業にとって最も重要と思われる主要な指標に焦点を当てたい」と理由を説明した。

ただ、アナリストらは投資家がこの変更に不満を抱くだろうと指摘。また、アカウント共有対策による会員増加が頭打ちになった後、どのように新規加入を増やすのか不明だとしている。

Mサイエンスのシニア株式調査アナリスト、マガリー・グロスハイム氏は「あと数四半期はアカウント共有の有料化が恩恵をもたらすかもしれないが、その後は何が会員増をけん引するか分からない」とし、数字の公表停止を決めたのもこうした理由からではないかと指摘した。

米交流サイトのXやメタ傘下のフェイスブックなども、成長鈍化に伴って月間アクティブユーザー数などの指標開示を停止した経緯がある。

PPフォアサイトのアナリスト、パオロ・ペスカトーレ氏は「来年から四半期ごとの会員数を公表しないという措置は、肯定的に受け止められないだろう。同社のこの1年の(会員数の)伸びを踏まえればなおさらだ」と述べた。

ネットフリックスは株主への書簡で、さらなる成長のためコンテンツの多様性と質の向上に努めるとともに、広告事業をさらに拡大すると述べた。

第1・四半期の1株利益は5.28ドル。前年同期は2.88ドルだった。

売上高は14.8%増の約94億ドル。第1・四半期にはSFドラマシリーズ「三体」や犯罪スリラー「グリセルダ」の配信を開始した。

営業利益は前年同期比54%増の26億ドルとなった。

同社は22年11月に広告付きプランの提供を開始し、23年にアカウント共有の取り締まりを始めた。広告付きプランを提供している市場では、加入申し込み全体に占める同プランの割合が現在4割を占めているという。グローバルな視聴者のニーズに応えるため、コンテンツの拡充も図っている。

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