高校野球で新基準の低反発バット1本3~4万円…「私立校と公立校の格差広がる」と憂う声も

高校野球の坂井・奥越地区大会で新基準のバットを振る選手=4月7日、福井県の坂井市三国運動公園野球場

 第150回北信越地区高校野球福井県大会が4月20日開幕する。金属バットが新基準の低反発タイプに完全移行し初の県大会となる。打球速度や飛距離が落ちるため、各校は攻守に対応を模索。一方、学校によっては1本数万円するバットへの切り替えが進まず、練習時の使用頻度に濃淡も出ており「(資金力のある)私立と公立の格差がより広がる」と憂う声もある。

 低反発バットの価格は1本3万~4万円程度。従来のバットより1万円ほど高い。資金面などの課題から、新しいバットに慣れる機会には学校や選手個々によって差がみられるのが現状だ。

 ある私立校は野球部で切り替えを進める中、ほぼ全ての選手が個人負担で新基準の「マイバット」を1本以上購入したという。一方、資金的余裕がない公立校では高額なバットの導入は大きなハードルとなっており、高志高校の仲谷渉監督は「新基準バットは練習試合だけ。普段の練習ではまだ旧基準を使っている」と明かす。

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 また「これまで4本買えたのが3本しか買えなくなった。物価上昇でボールも値上がりした」と厳しい懐事情を吐露する学校も。日本高野連は全国の加盟校に3本ずつ配布したが、いずれ買い替えが必要になることもあり「公立の多くは部員も減っていて部費に余裕がない。私立との差がますます広がる」と懸念の声を上げる関係者もいる。

 ただ、新基準バットの導入最大の目的は、強い打球による投手の危険防止だ。藤島高校の岡島規雄監督は「打球が遅くなり、生徒の命を守ることにつながる。大事なのは選手スキル向上。より正確に芯で捉える技術を磨きたい」と指導に熱を込める。

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新基準の金属バット 従来より最大直径は3ミリ短い64ミリで細くなった。ボールを捉える打球部は3ミリから4ミリに厚くなり、反発性能が抑えられた。打球速度は3%以上抑制され、木製バットに近くなったといわれる。重量は変わらず900グラム以上。打球による事故防止といった投手の安全確保を主な目的に、日本高野連が2022年2月に導入を決定。22年度から2年間を移行期間とし、公式戦では今春の全国選抜大会から完全移行となった。

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