議員席見えない議場ってどうなの 居眠り、ヤジ飛ばし傍聴席からチェックできず 滋賀・守山市

昨年完成した滋賀県守山市役所の新庁舎

 滋賀県守山市の新しい市役所庁舎が完成して8カ月。ペーパーレスの推進で書類棚などが少なく、さまざまなタイプの机がゆったり配置されているせいか、職員たちが生き生きと働いているようにみえる。すっかり新庁舎に慣れた様子だ。

 一方、取材する側として全く慣れないのが、市議会の議場である。傍聴席から議員席が見えないのだ。

 議場は庁舎2階にあり、議長席や演壇、市長をはじめ幹部職員が並ぶ席と、それに向かい合う形で議員たちが座る席がある。3階の傍聴席は、ちょうど議員席の真上あたりになり、ガラスのフェンスに近寄ってのぞき込まないと、議員の様子はうかがえない。

 市によると、敷地面積などに制約があったという。議員には基本計画の段階から説明し、図面なども示したという。議会事務局も、傍聴席から議員が見えないことについて、新庁舎について検討した特別委員会では目立った議論はなかったという。ただ、2023年8月の内覧会や傍聴に訪れた市民からは、「議員の姿が見えない」といった不満や、残念がる声が出ているという。

 市民が市長と議員の両方を選ぶ仕組みは、二元代表制と言われる。市民は、市長だけでなく、議員が期待した職責を果たしているか注視している。議案の賛否だけではない。議場で居眠りしていないか、ヤジを飛ばしているのか、配備されたタブレット端末をきちんと使いこなせているか、見ているのである。現在の傍聴席からは、それらがまったくチェックできない。

 議員からは「見えているものと思っていた」「図面だけではわからなかった」「いまさらどうしようもない」という意見が多い。新庁舎は今後、何十年も使われる。その間ずっと、議員の姿が見えない議場のままで本当にいいのだろうか。

 県内には、ほかにも議員席が見えない議場があると聞く。今後、他の市町に広がらないことを願う。

昨年から稼働し始めたばかりの守山市役所新庁舎(滋賀県守山市吉身2丁目)

© 株式会社京都新聞社