Jリーグ下部組織で挫折→ヨーロッパ移籍から転機到来…“評価急上昇”ブレイクの予感

U-23日本代表の小久保玲央ブライアン【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)】

GK小久保玲央ブライアン、意を決した海外挑戦後に描く成長曲線

威風堂々たる佇まいと驚異的な反応速度、「ここが届くのか」というリーチの長いセービング。U-23アジアカップ初戦の中国戦、開始17分で1人少なくなった日本の窮地をビッグプレーの連発で救ったのがGK小久保玲央ブライアンだ。

パリ五輪をかけた重要な初戦。しかも日本は韓国とUAEが同居する「死のグループ」に入った。2位以上で決勝トーナメント進出ができるレギュレーションを考えると、初戦で引き分けたり、敗れたりすることはすなわちパリ五輪へ黄色信号が点灯する事態だった。

1点リードをしているものの、残り73分とアディショナルタイムを10人で戦うことは困難そのもの。DF陣を中心に身体を張った守備をしたが、それでも当然ピンチはやってくる。前半だけでも2度の決定機を作られたが、小久保は冷静だった。

集中した表情、そして相手に対して「俺がいるぞ」という威圧感と、仲間に対しては「冷静にやればいい」というメッセージを込めた立ち振る舞い。窮地に立たされながら、これだけ落ち着いたGKが最後尾にいるのは9人のフィールドプレーヤーにとって非常に心強かったに違いない。

小久保は柏レイソルU-15からU-18に昇格すると、高校1年生の時から激しいポジション争いを演じて高円宮杯プレミアリーグでスタメン起用されることもあった。

だが、2年生になると1年時からポジション争いを繰り広げたGK猿田遥己(柏)にポジションを奪われてしまった。その要因の1つとしてメンタル的な安定感の欠如が影響していたように感じられた。

驚異的な反応とリーチの長さを生かしてビッグセーバーとしての能力は凄まじかった。その一方で相手のラフプレーなどがあると、怒りなどで自分をコントロール仕切れないことも散見された。

一度イラつきが出てしまうと、その後のプレーが少し雑になってしまったり、キックが不安定になってしまったりすることがあった。3年生になってようやく守護神の座を掴むことができたが、安定感の面では課題が残った。

それでも小久保の能力はスペシャルであり、なによりチームのために戦おうとするがゆえのイラつきであることは間違いなかった。勝ちたい、仲間をサポートしたい。その気持ちが強くコントロールし切れない部分があった。

だが、卒業後に意を決して海外に渡ってからはその不安定さはどんどんなくなっていった。自覚なのか、それともベンフィカというポルトガルのトップレベルの環境がそうさせたのか。答えは両方だった。

「相当厳しいトレーニングをやっている自負はあります。海外は本当にレベルが高いので、周りに自分の力が引き出されるというか、高校時代の自分以上にさらに自分で求めて、何をしたらいいのかなど、常に深く考えながらやるようになりました。その感覚が日を重ねるごとに大きくなっている印象があります」

精悍な表情と、落ち着いた立ち振る舞い。そして相変わらずの驚異的なセーブ力。中国戦でのパフォーマンスは彼がこれまで積み上げてきたものの結晶であった。まさに頼もしき守護神がこれからも日本に安定感をもたらしてくれるのは間違いないだろう。(FOOTBALL ZONE編集部)

© 株式会社Creative2