「城跡へ続く山道を彩る花々!」カタクリも桜も見頃、今が旬のお花見トレイルへ

坂戸山。桜とカタクリの共演はオーケストラのよう(撮影:丸山朝之)

桜前線も北上して、春めく新潟県。残雪きらめく越後の里山にも、ポツポツと山桜がピンクの差し色を加えている。麓で満開の桜の余韻もそのままに、かねてより好条件で訪れてみたい山があった。その山の名は坂戸山だ。地元の市民に愛され、四季を問わず、県外からも多くの人が訪れてくるという。春の坂戸山の魅力とは?

■市民に愛される里山「坂戸山」とは?

屋敷跡のカタクリ大群生は絶対見逃せない!

坂戸山は、新潟県南魚沼市坂戸にある標高634mの小さな山ながら、NHKの大河ドラマ『天地人』の主役・直江兼続の居城として知られている。また、戦国時代に全体が山城であったという城跡が国指定の文化財になっている。

最寄りの六日町駅からも近く、麓にある「銭渕公園」は南魚沼の桜の名所としても有名だ。山麓から山頂までのトレイル脇にはカタクリの花が見られ、桜とセットで見られるこの時期は見た目も賑やかで、山頂からの眺望と共にとても人気の山だ。

■右か? 左か? どちらのコースも間違いなし!

駐車場の混雑が予想されるために早朝スタートした。坂戸山登山口駐車場は住宅街にあるので、銭渕公園から歩くことに。駐車場には地元はもちろん、隣県や遥か遠方からのナンバーもあり、人気の高さが伺えた。山に向かって右へ行けば“薬師尾根コース”、左へ行けば“城坂コース”となっており、今回は薬師尾根から城坂コースを選択した。

登り始めからさっそくカタクリがお出迎えしてくれる。階段状に整備されたトレイルは、前を見れば桜、足元を見ればカタクリ。振り返れば魚沼の街と山並みが見える展望コースだ。カタクリの他にもイワカガミ、イワウチワ、ショウジョウバカマ等の山野草が沿道を彩り、山桜の他にコブシに似た花のタムシバが残雪の山に花を添えている。走って登って行く人や、じっくりと花にカメラを向ける人と、花も人も様々。春の息吹きを感じながら気持ちよく歩けた。ただし、遮る物がない尾根上の日差しはきつく、体はたくさんの水分を要求してきた。

山頂は広く、遠くに谷川岳、苗場山。近くに巻機山、八海山、金城山……。絶景が広がる。山頂からはまたルートが増え、稜線上に小城、大城の山城の遺構が残る。その奥にドッシリと構える巻機山が輝いて見えた。

山頂からは城坂コースで下山した。こちらも花のトレイルだった。両脇に咲くカタクリの群生は「また来年も来てね」と、囁くように咲いていた。中には1株だけ真っ白いカタクリが咲き、道行く人の関心を集めていた。麓に近い屋敷跡は、桜とカタクリの絶景スポット! 山には登らないけど、この場所を目的に来たと言う人も多く、見れば「なるほど」と納得の景色。屋敷跡に残されている石積が、桜とカタクリの大群生に溶け込んでいる。下山すると駐車場は満車になっていた。スタートした銭渕公園で、花とお団子も堪能して満足な1日だった。

■稜線の見頃はこれから! お花以外の見所も充実の坂戸山

お手軽な低山と思って侮ると痛い目にあうのが坂戸山。スタートからの標高差470m。往復3時間くらいだが、日陰がなく日当たりが良く、当日の快晴で気温は急上昇した。連続する急登で一気に上がる里山なので、十分な水分としっかりと体温調節できる服装で臨みたい。登山道はしっかりと整備されているが、登山に適した足元で歩きたい。

駅から登山口まで徒歩でも20分程度でアクセスが良いところも見逃せない。稜線上や日陰のカタクリは、まだまだ開花準備中だ。早朝が空気も澄んでいて気持ちいいし、空いていることが多いのでゆっくり写真を撮りたい人にもおすすめだ。

朝早くに登山を済ませ、周辺にある八海山酒造や雲洞庵などに立ち寄り、温泉と里山グルメで仕上げる! そんな南魚沼お花見ハイクはまだまだ楽しめそうだ。

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