横浜の空高く… DeNA筒香嘉智がハマスタに帰還「応援歌を聞いた時の高ぶる気持ちというのは前と変わってない」

横浜DeNAベイスターズに筒香嘉智が5年ぶりに帰って来る。2019年のシーズン終了後、ポスティングシステムを使って米メジャーリーグに挑戦。タンパベイ・レイズに移籍すると、2021年にはシーズン序盤にロサンゼルス・ドジャースにトレードで移籍。負傷者リスト入りを経て同年にFAでピッツバーグ・パイレーツと契約した。そこからは不振が続いたこともあり、マイナー契約を繰り返して、今年サンフランシスコ・ジャイアンツから自由契約になったところで、かねてから筒香を調査していた日本の複数球団が交渉に入り、古巣のDeNAが筒香の心を射止めた。

筒香は「交渉は代理人に任せていたが、最後は誰にも相談せずに自分で決めました。南場ママに言われた言葉が大きかった」と南場智子オーナーからかけられた言葉が最後の決め手になったと明かしている。その内容については「それはちょっと僕の中で非常に大切な言葉でしたので、 僕の心の中にとどめさせていただけたらなと思います」と触れなかったが、この発言を聞いたファンの間からは、南場ママ(ファンもそのように呼んでいる)を称賛する声が多く見られた。

筒香がいない間にDeNAの4番には4年目の牧秀悟がチームの顔として座っている。牧とは一緒にプレーしたことがないだけに、それだけを取ってもこの5年間でチームの雰囲気は少し変わったのも事実だ。牧については「なかなかやっぱり映像を見る機会はなかなかったので、牧選手は本当に素晴らしい選手というのは もちろん認識してますけど、今ここで曖昧なことはちょっと言えないですかね」と言葉を濁していたが「僕が何か大きなことを、小さなこともそうですけど、できるとは思ってないです。まずは僕自身、何度も言いますが、ポジション1つをプレーヤーとして取りに行くという、それだけです」とシーズン途中からチームに加わることに対する難しさをメジャーで味わって来ただけに、若い選手たちに今は負けたくないという気持ちの方が上回っているようだ。
一方現在のコンディションについては「まだ試合に出てないので、練習と試合で違った部分というのは必ずあると思いますので、 試合に出てみないとというところですかね」と横須賀市追浜にあるチームの練習施設で体を動かしながら「スケジュール感は未定」とした上で「ファームの試合から出ることになると思います」とまだシーズンも序盤とあって、焦らずにじっくりと調整してから一軍昇格を目指していく。
この日は雨の中、約9500人ものファンが横浜スタジアムに駆けつけた。応援団によって何度も流れた懐かしい筒香の応援歌を耳にして本人は「やはり応援歌を聞いた時の高ぶる気持ちというのは前と変わってないです。本当に応援、歌声を聞いて、またこの横浜スタジアムでプレーできるということが本当に幸せなことだなと改めて思いました。僕が入団した時は本当にスタンドに空席が目立つような状態で入団して、最初プレーしてました。その中で、もちろん球団の努力というものもあり、 僕がアメリカに行く頃には毎試合満員の状態でこの横浜スタジアムでプレーできてましたし、その中でやはりプレーできるというのは、選手というのは非常に幸せなんじゃないかなと思っています」と改めて横浜のファンの熱を感じたという。スタンドから漂う「お帰りなさい」感はグラウンドで取材しているこちらも鳥肌が立つような感覚になった。

球団ではこの日のために、JR関内駅のホームから改札に向かう階段に筒香のポスターを何枚も掲示して、筒香の横浜帰還を歓迎した。ファンたちも5年ぶりに袖を通したであろう「25」のユニホーム姿が目立っていた。「僕のモチベーションとなるのが、横浜で優勝を目指すということでしたので、横浜に決めました」と南場ママの「魔法の言葉」とともに「横浜で優勝」が復帰の後押しになったという筒香が、次に横浜スタジアムにやって来るのは一軍での試合になるはず。復帰戦はさらに多くのファンから温かく迎えられるだろう。それに筒香はバットで応えてくれると信じたい。

取材・文⚫︎どら増田

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