小関裕太&岡宮来夢、念願のロミオ役に「プレッシャーも力に変えて頑張りたい」【インタビュー】

上演の度に大きな話題を呼ぶミュージカル「ロミオ&ジュリエット」の3年ぶり6度目の上演が決定。5月16日に東京・新国立劇場 中劇場で幕を開ける。

本作は、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で600万人以上を動員したメガヒットミュージカルだ。日本では、10年に小池修一郎演出により宝塚歌劇団によって初演された。その後、11年に新たに〈日本オリジナルバージョン〉が誕生し、以降、再演を重ねている。今回の公演でロミオ役を務める小関裕太と岡宮来夢に本作への思いや公演への意気込みを聞いた。

(左から)岡宮来夢(左/ヘアメーク:村田樹/スタイリスト:能城匠)と小関裕太(ヘアメーク:Emiy(エミー)/スタイリスト:能城匠) (C)エンタメOVO

-岡宮さんは、スケジュールが厳しい中、ご本人たっての希望でオーディションに参加されたと聞いています。改めて出演が決まった心境を教えてください。

岡宮 元々別の仕事が決まっていたので、稽古になかなか出られなくてご迷惑をかけてしまうことになるのではないかという思いがあったのですが、「受けずに終わるのは嫌だ。落ちてもいいから受けてみたい」と思い、無理を言って歌を聞いていただいたのがきっかけでした。ずっと出演したいと思っていた作品だったので、出演が決まったときは本当にうれしかったです。分かっていたことですが、すごく過酷で大変なスケジュールになりますし、たくさんの方にご迷惑をかけてしまうと思いますが、出演が決まったからにはプレッシャーも力に変えて頑張りたいと思っています。

-この作品のどんなところに引かれて、出演したいと思っていたのですか。

岡宮 恥ずかしながら、この作品がどんなストーリーなのかを知ったのは、俳優として活動をし始めた頃に受けたワークショップで「ロミオとジュリエット」の戯曲を読ませてもらったときでした。そこで「ロミオとジュリエット」から派生した作品がたくさんあることを知って、俳優として人生を送っていく中で、原点ともいえるロミオという役をいつか演じてみたいという思いを持つようになりました。そうした中、21年の公演で大好きな(黒羽)麻璃央くんがロミオを演じられるというので公演を見に行かせていただいたら、楽曲がすてきで、小池先生の演出もすばらしくて、衝撃を受け、この舞台に立ちたいと強く思ったんです。それで、今回、あきらめきれずにオーディションに参加し、出演させていただくことになりました。

-小関さんはいかがですか。

小関 僕もオーディションを受けました。出演が決まったときはうれしかったです。オーディションを受ける前は、少年ならではの情熱と青春が描かれたこの作品で、16歳のロミオを実年齢28歳の僕が演じられるのかと考えました。ただ、作品と向き合えば向かい合うほど、きっとこのタイミングでしか演じられないのではないかと思うようになりました。この作品の楽曲の難しさ、作品やロミオへの理解力という意味でも、「今」で良かったのかもしれないと感じています。

-小関さんは、「ロミオ&ジュリエット」やシェークスピア作品に出演することについては、どのような思いがありますか。

小関 まず、僕はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」の初演と再演を実際に劇場で観劇しているんです。初演のときは、僕はまだ高校生でしたが、あの美しい世界は今でも鮮明に覚えています。その後も、佐藤健さんが出演されたストレートプレーの「ロミオ&ジュリエット」も観劇しました。出演が決まってからは映像で蜷川幸雄さんが演出された藤原竜也さん主演の作品も見ました。(ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」の)2021年の後輩の甲斐翔真さんが出ていた公演も、麻璃央くんが出ていた公演も、古川雄大さんがロミオを演じていた年も見ています。見比べると面白いんです。そうしてたくさんの作品を見たので、理解もだいぶ深まっていると思います。

それから、この作品がシェークスピアの戯曲を原作とした作品であるということは、僕がこの作品に携わってみたいと思った大きな理由の1つです。23年に出演した舞台「キングダム」で、壤晴彦さんとご一緒させていただいたとき、シェークスピア作品についてお話をたくさん聞かせていただきました。壤さんは、「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー」と交流があったり、蜷川さんの舞台にもご出演されていたので、とてもお詳しくて。そうしたお話を聞く中で、シェークスピアの作品を知ることによって理解が深まることも多いんだろうと興味を持ち始めたタイミングで、オーディションのお話をいただいたので、これはある種、運命だなと思って受けさせていただいた経緯があります。なので、僕もこの作品に今、とても前のめりになっています。

-(取材当時)お稽古はまだこれからだと思いますが、それぞれどんなロミオになりそうですか。

岡宮 僕は「この世界にもいそうなロミオ」になるのではないかなと思います(笑)。もちろんロミオはベローナという街に生きていますが、僕が演じることで「ああ、こういう子、いるよね」と共感していただけるロミオになるのではないかなと。あまり気負わずに、感じたままに演じたいと思います。

小関 僕は「爆発」かな。もちろん役者の皆さんそれぞれの熱さと爆発力があると思いますが、僕も爆発するようなロミオを演じたいです。喜怒哀楽の感情表現の中で、悲しみが爆発する瞬間が一番感情移入しやすいと思います。もちろん、その悲しみのためには「好き」という思いや愛情といったポジティブな感情を実感する必要があると思いますが、見ている皆さんも悲しみから物語を実感しやすいのではないかなと思うので、悲しみの表現を大事に演じたいです。そして、この作品が結末に向かっていくにあたって、1つ1つの爆発も大事だと思うので、体をボロボロにして頑張りたいと思います。

-では、もしも二人がロミオと同じように、運命的な出会いを果たし、相思相愛になったけれども、たくさんの困難があり、結ばれるのが難しいという状況になったらどうしますか。

岡宮 僕は家族を大事にするような気がします。自分が置かれている状況を俯かんで見てしまって、突っ走れないですね。身を引くと思います。

小関 この物語が描かれた時代ならまた考え方も変わるかもしれませんが、今の時代なら突っ走ります(笑)。

-例えば、それが恋愛ではなく、お仕事で「自分は突っ走りたいけれども、周りからは止められている」という状況だったら?

岡宮 お仕事だったら、自分の意見を突き通すと思います。反対意見があっても「僕がやりたいんです」って。何で、恋愛になるとダメなんですかね(笑)。

小関 思いやりが人一倍、強いんじゃない? いろいろな人の思いが見えてしまってブレーキがかかっちゃう。

岡宮 考え過ぎてしまうんですかね。

小関 僕はお仕事も同じだと思います。

-最後に、本作でそれぞれ特に見てもらいたいポイントや、これからの稽古で特に力を入れていきたいところを教えてください。

小関 今までさまざまなロミオを見てきましたが、僕だったらこう演じるというのが台本を読んだときに頭の中に浮かんだので、体現していきたいと思います。台本を読みながらすごくワクワクしたので、これまでのロミオとの違いを味わっていただけるように頑張りたいと思います。

岡宮 僕はとにかく歌を頑張らなければいけないと思っています。喉が強い方ではないですし、不安要素もたくさんあるので、その不安をつぶせるだけつぶしていきたいです。そして、稽古までに台本をたくさん読んで臨みたいと思っています。シェークスピアは詩的な表現も多く、それをどう演じるかも難しいですし、そこで描かれている事実をしっかりと自分の中で合わせられるように考えていきたいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」は5月16日~6月10日に都内・新国立劇場 中劇場ほか、愛知、大阪で上演。

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(左から)小関裕太、岡宮来夢、吉柳咲良、奥田いろは

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