TBS「アンチヒーロー」好発進でも立ちはだかる重い課題 「VIVANT」のネトフリ惨敗リベンジなるか?

まだまだこれから(C)日刊ゲンダイ

長谷川博己(47)が主演を務める日曜劇場「アンチヒーロー」(TBS系)が14日、スタート。今作は長谷川が2017年の「小さな巨人」以来、7年ぶりに日曜劇場で主演を務める作品。昨年大ヒットした日曜劇場「VIVANT」同様に、ストーリーや詳細などを一切明かさない“宣伝しない宣伝”の手法をとり、「VIVANT」の脚本家や演出家、プロデューサーなどが、今作の制作にも携わっている。そんな戦略も功を奏し、初回の世帯平均視聴率は「VIVANT」と同じ11.5%をマークした。

最近の日曜劇場といえば、昨年10月期「下剋上球児」の世帯の全話平均が9.6%、今年1月期「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」が10.7%だった。14.3%に達した「VIVANT」と初回放送の視聴率が同値だったことは吉兆と言えそうだが、日曜劇場には課題も残っている。

「Netflixのランキング上位に食い込み、海外ユーザーにもリーチし、話題になることで海外でのリメイク権による収益にどのように繋げられるかという問題です。『VIVANT』は日本人の精神性が根幹にある日曜劇場らしい傑作でしたが、Netflixオリジナル作品も多い中、世界を意識した作りをしている作品の中で埋もれてしまった印象です」(ドラマ制作会社関係者)

「VIVANT」は、民放ドラマでは異例の1話あたりの制作費が1億円だと報じられた。予算を潤沢に使って制作したのはNetflixオリジナル作品として台頭し、テレビやTVer放送以外で収益を上げる目論見もあったことが伺える。しかし蓋を開いてみれば、監督の福澤克雄氏が「続編は決まっていませんし、僕には決められない」「なぜかと言うと大赤字です」と「第14回ロケーションジャパン大賞」の授賞式で述べるほど収益的には苦しかった。

■『Eye Love You』は新規層へのリーチに成功

「『アンチヒーロー』は、大規模ロケがあった『VIVANT』ほどの予算はかかっていないと考えられるので、そこまで予算の回収に躍起になる必要はないと思いますが、ネトフリでのランキング入りは、普段テレビドラマを見ない層にもリーチできるチャンスにも繋がります。前期の『Eye Love You』は、ネトフリユーザーにも人気のチェ・ジョンヒョプを起用し、日本だけでなく韓国ランキングにも入り、ネトフリからテレビでのリアルタイム視聴を始めたという声もあるほど。まさに新規層へのリーチが成功した例といえるでしょう」(同)

今作は、初回放送直後にNetflixで配信されたものの、15日、16日の日本のトップ10には入っていない。3月31日放送のフジテレビ系「だれかtoなかい」で、俳優の鈴木亮平が「日本国内だけに向けて作品を作っていたことで、世界を見据えた作品を作っていた韓国に20年くらい差をあけられてしまった」と述べていた。

「鈴木さんの指摘通り、良くも悪くも日本人による、日本人のためのドラマとして作られ、海外展開が思うようにいかなかったのが『VIVANT』といえます。『アンチヒーロー』も、殺人犯を現在の日本裁判の裏をかいた方法で無罪にするという斬新な作品ですが、日本人としての倫理観を問う今作も『VIVANT』同様にNetflixでは苦戦を強いられる可能性が現段階ではあります」(同)

日本人の琴線に触れる日曜劇場ほど、Netflixユーザーとの相性は自ずと悪くなってしまうのかもしれない。それをどうクリアしていくのかがTBSの課題と言えそうだ。

※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区。

© 株式会社日刊現代