山本由伸がドジャースから「投手史上最高額12年465億円」を引き出した手練手管と舞台裏

山本由伸(C)ロイター/USA TODAY

昨年の12月中旬のことだ。

ポスティングシステムによるメジャー移籍を目指す山本由伸(25=現ドジャース)は、ロサンゼルスからニューヨークへ飛んだ。

目的は獲得に名乗りを挙げていたヤンキースとメッツとの交渉。ヤンキースは22年にア・リーグ記録となる62本塁打を放ったジャッジ(31)が同席。メッツは大富豪で知られるコーエン・オーナーが自宅で食事をふるまったそうだ。

「いずれも2度目の交渉でした」と特派員のひとりがこう続ける。

「ヤンキースは12月上旬、スタインブレナー・オーナーやブーン監督らが山本が自主トレを行っているロスに出向いて面談しています。メッツはニューヨークの面談に先駆けてコーエン・オーナーとスターンズ編成本部長がわざわざ来日、大阪で山本とその家族と食事をしながら交渉をした。ヤンキースもメッツも最初の交渉にかなりの手応えを感じていたところにもってきて、山本サイドから今度はニューヨークで話をしたいというリクエストがあって2度目の交渉が実現した。ともに獲得に自信満々だったと聞きました」

ヤンキースは昨季、地区4位に低迷。2016年以来、7年ぶりにプレーオフ進出を逃し、オフの補強は必至だった。最大のターゲットが山本だったことはキャッシュマンGMも認めている。

メッツは昨季、開幕時の選手総年俸がメジャー30球団中ナンバーワン。コーエン・オーナーが大金を投じてスター選手をかき集めたものの、こちらも地区4位に沈んだ。オフはブルワーズを常勝球団にしたスターンズを編成トップに据えて巻き返しを図り、山本獲得は再建の第一歩だった。

いずれも本気で山本を取りに行き、それなりのカネも時間も費やし、好感触を得ていた。代理人たちの間では「山本が行きたがっているのはヤンキースらしい」という情報が流れたほどだ。

山本が選んだのはしかし、ニューヨークの2球団ではなくドジャースだった。

「それどころかヤンキースとメッツはダシに使われたという情報があります」と、さる放送関係者がこう言った。

「山本がニューヨークで2球団との面談を終えてロスに戻ってきたとたん、ドジャースの条件が総額で約100億円もアップしたというのです。つまり山本サイドはドジャースからさらなる好条件を引き出すために、わざわざニューヨークに飛んだ可能性がある」

かくして山本はメジャーで1球も投げていないうちから12年総額約465億円という、メジャーの投手史上最高額を手にすることになったのだ。(つづく)

◇ ◇ ◇

ダシに使われたと言われるヤンキースとメッツ、両球団の怒りの矛先が山本に向くことになったのは言うまでもない。その上、さらに火に油を注ぐことになった山本の入団会見の内容、待ち受けている両球団との試合日程などは、

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