“中免”で乗れる輸入バイク、BMW、トライアンフ、KTM、ハーレーをJAIA輸入二輪車試乗会で乗り比べ

by 編集部:椿山和雄

2024年4月10日 開催

日本自動車輸入組合(JAIA)は4月10日〜13日の3日間、輸入二輪車試乗会・展示会を大磯プリンスホテルにて開催した。JAIA加盟各社の最新モデルを取り揃えた試乗会は、輸入二輪車の魅力とその走りを報道関係者などに理解してもらうために毎年行なっているもので、記者も実際に試乗してみた。

JAIAによると、2023年の輸入小型二輪車の新規登録台数は2万7008台となり、2022年の2万6271台と比べて2.8%増加し、5年連続の増加となった。その理由としては、二輪車がコロナ禍の影響で密を避ける移動手段になったことに加え、一人でも楽しめるツーリングキャンプの定着、SNS等の普及により、バイクに関する情報が発信されるなど、バイクがより身近な存在へと変わりつつあり、また普通自動二輪免許でも乗ることのできる新型車が登場するなど、個性的な輸入二輪車に目を向けてもらったからだと分析している。

1枠50分を基本にした試乗会。今年は“中免”をキーワードに、普通自動二輪免許で乗ることができる、400ccまでのマニュアル車、BMW Motorrad「G 310 R」、トライアンフ「Speed 400」、KTM「390 DUKE」、ハーレーダビッドソン「X350」をセレクトして乗り比べしてみた。

BMW Motorrad「G 310 R」

最初の1台は、BMW Motorradの「G 310 R」。最高出力25kW(34PS)/9250rpm、最大トルク28Nm/7250rpmを発生する水冷4ストロークの単気筒DOHC4バルブ 312ccエンジンを搭載するモデル。ボアxストロークは80x62.1mmとショートストロークタイプでバランスシャフトを装着している。

トランスミッションは6速、シート高は785mm(空車時)、車両重量は164kg(国土交通省届出値、燃料100%時)、LED化された灯火類やETC 2.0を装備して、価格は74万円から。

先に言ってしまうと、今回試乗した4台とも、立ち転けするんじゃないかという不安は感じなかった。それは、足つき性のよさというよりか、いずれのモデルも200kgを切る車両重量で、車体が軽量なことからくるもの。

BMWでは「G 310 R」について、ストリートでの使いやすさを強調しているが、まさにその通り。この軽量な車体であれば、バイクを降りてからの取りまわしに苦労することもなく、毎日ガシガシ使えそうな印象。走りの部分では、BMWの掲げる“駆け抜ける歓び”も忘れていない、ちょいと強めにアクセルをまわしたときや6000rpmあたりから吹け上がるときのエンジンの鼓動感は、なかなかのものだった。

BMW Motorrad「G 310 R」

トライアンフ「Speed 400」

2台目はトライアンフ「Speed 400」。最高出力29.4kW(40PS)/8000rpm、最大トルク37.5Nm/6500rpmを発生する水冷単気筒DOHC4バルブ 398.15ccエンジンを搭載するモデルで、ボア×ストロークは89.0×64.0mmとショートストロークタイプ。トランスミッションは6速で、シート高は790mm、車体重量は170kg、価格は69万9000円。

Speed 400に乗って印象に残ったのは、心地よいエキゾーストノートが楽しめることで、クラシカルなスタイルに合わせて、サウンドが演出されている。“ドコドコドコドコッ”と、このサウンドをずっと聞きながら田舎道をゆるゆると走る、そんな旅にでたくなるバイクだなと感じた。

クラシカルなスタイルの単気筒エンジン搭載モデルは、国産モデルの現行ラインナップでいうとホンダの「GB350」あたりがライバル車となってくるのだろうか、Speed 400は価格や質感を含めて強力なライバルとなりそうな1台であろう。

トライアンフ「Speed 400」

KTM「390 DUKE」

3台目は、KTM「390 DUKE」。出力33kW、トルク39Nmを発生する水冷4ストロークの単気筒 398.7cm³エンジンを搭載、ボア×ストロークは89×64mmでショートストロークタイプ。トランスミッションは6速、シート高は820mm、車輌重量は165kg(燃料含む)、価格は78万9000円。

390 DUKEは、アイドリング時のサウンドが、タッタッタッタッと、まな板の上の素材をリズムよく包丁で刻んでいるかのように、小気味いいサウンドが特徴的。試乗車両はオプションのクイックシフター付の車両で、“こんな便利な機能があるのか!”と感心しつつ、走り込んでいく中で、“あっ、ヤバい!”と思ったのがこのバイク。

ヤバいというのはバイクの側でなく人間の側。それはこのバイクのパワーと軽快感からくるもので、走り出しからUターンをするだけでも動きが軽快なのが分かる。アクセルをひねればビュンと加速して、ブレーキもよく効く。ヤバいと感じたのは、“ちょっとブレーキングポイントを遅らせてコーナーに入っても大丈夫じゃない?”などと、自分の運転が上手になったのかのように思わせてしまう、あぶない領域に誘ってくるという意味。

アニメ「機動警察パトレイバー」に登場する特車二課整備班班長 榊清太郎氏の「どんなに技術が進んでもこれだけは変わらねえ。機械を作るヤツ、整備するヤツ、使うヤツ、人間の側が間違いを起こさなけりゃ機械も決してわるさはしねえもんだ」を心に刻みたいと思った。

KTM「390 DUKE」

Harley-Davidson「X350」

最後はハーレーダビッドソンの「X350」。出力27kW(36HP)/8500rpm、トルク31Nm/7000rpmを発生する水冷4ストロークの並列2気筒 353ccエンジンを搭載。ボア×ストロークは70.5×45.2mmとショートストロークタイプ。トランスミッションは6速で、シート高は777mm(非積載時)、車両重量は195kgで、価格は69万9800円。

X350は、ハーレーダビッドソン ジャパン主催の試乗会につづいて2回目の試乗。他ブランドのモデルと並べて試乗すると、どんな印象があるのだろうかと気になって試乗してみた。

今回試乗した中では、唯一の並列2気筒モデル。出力特性は、ちょっと荒々しい部分もある単気筒モデル(それが魅力的な部分もあるのだが)と比べるとマイルドな印象で、全体的に上質なモデルに仕上がっている印象を受けた。

ギアレシオの関係からか積極的にシフトアップ、シフトダウンを求めるタイプだなというのが、他のモデルと比較するとよく分かる。その分、パワーを使い切れる感覚もあって運転していて楽しい。KTMとは対象的に、バイクに乗り慣れていない人にもやさしい、身の丈にあった等身大でいられる気分のバイクかなと感じた。

Harley-Davidson「X350」

今回試乗した4モデル、それぞれにブランド独自の魅力があることが分かったのが大きな収穫であった。実際に試乗してみると、“このバイクであそこを走ってみよう、こんな旅にでてみたい”というイメージができるのがいいところ。気になるバイクがあれば、一度試乗してみることをおすすめしたい。

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