打席で笑顔、マウンドで会釈 白星なくとも阪神右腕が楽しんだ「野球の原点」

阪神・西勇輝【写真:荒川祐史】

阪神の西勇は8回4安打1失点の力投、今季初勝利ならずもチームはサヨナラ勝ち

■阪神 2ー1 巨人(18日・甲子園)

自身に白星は付かなかったが“投げ合い”を思う存分楽しんだ。阪神・西勇輝投手は18日の巨人戦に先発し、8回4安打1失点の力投。今季初勝利は持ち越しも「1イニングでも長くという自己犠牲。チームが勝てばそれだけでいい」と充実した表情を見せた。

巨人の先発は2019年まで4年連続で合同自主トレを行っていた菅野。2回2死一、二塁のピンチで小林に中前適時打を浴び先制を許したが「菅野さんがいい投球したので、そのリズムに乗れた」と、3回以降は二塁を踏ませない投球で8回1失点にまとめた。

前回登板の広島戦でも8回5安打無失点の好投を見せるなど、ここまで3試合に登板し防御率1.69と安定した成績を残している。今季初勝利はまたもお預けとなったが、自身に全く焦りはない。「自己犠牲のなかで最終的に勝てたのはチームとして一番大きい。個人としてやっていないので」。経験と実績のあるベテランはさらりと言い切る。

そんな状況のなかでも、試合では「野球の原点」を感じながら一挙手一投足を楽しんだ。この日の全2打席は菅野が投じる直球、変化球にフルスイング。空振り三振に倒れた第1打席は、キレのある直球に笑顔を見せる姿も。投球では8回1死走者なしの場面で、菅野から見逃し三振を奪うと、マウンド上で自然と会釈をする場面もあった。

師匠ともいえる相手に一歩も引かず、2人で息詰まる投手戦を演じた右腕は「知ってる方、親交が深い方なので。原点じゃないですか、野球が楽しいというのが。好きな先輩と投げ合えて、長いイニングを投げられて。勝手に僕も三振を取った時、会釈しましたね(笑)。向こうが完封を狙いにきていて、振らないと分かっていたので。本当に良い時間を過ごせた」と、何度もうなずいた。

好投を続けるベテランに岡田監督も「勝ち星ちょっと付かなかったけど、ずっといいピッチングしてるんでね。前の回かな、あれ回っていたらもうそのまま行かすつもりだったんですけど。もう今日は西にかけようと9回まで」と賛辞を送っていた。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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