諫早市が出資法人に改善通知 パワハラの苦情相談受け 実態調査は「権限外」 長崎

 長崎県諫早市が全額出資する一般財団法人でパワーハラスメントを受けたとして、元職員らが「被害者の会」を立ち上げて市に対応を求めていた問題で、市は18日、法人に適正な労働環境の確保を求め文書で改善通知した。
 法人は市の指定管理者として20以上の施設の管理運営などに当たり、役員のうち3人は市職員。元職員らは上司から暴行や罵倒され、パワハラを問題視したため雇用契約の更新を拒否されたなどと訴えている。
 市は同会からの苦情相談を受け、労働環境について報告書を求め、聞き取り調査。その結果、「法令違反は認められなかったが、改善すべき点がある」として▽パワハラをしてはならない旨を就業規則に明記し、職場環境の規律を明確にする▽就労に関するストレスチェックの実施▽苦情相談の調査段階でも必要に応じて労働者の代表や外部有識者を入れ、事案の深刻化を防ぐ体制づくり-など5項目を求めた。ただ、同会が求めたパワハラの実態調査については「権限外のためできない」としている。
 法人は取材に「パワハラの事実は確認できない」とした上で、「内容を精査し、改善すべき点は改善する」とした。
 一方、同会は「形だけの対応。被害者は10人以上いる。市はきちんと調査をし、法人も事実を認めてほしい」としている。

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