FIIO、AKMフラッグシップDACや進化したTHXアンプ搭載の新DAP「M23」

by 山崎健太郎

左から「M23」「M23 Stainless Steel」

エミライは、FIIO Electronicsの新DAPとして、AKM製フラッグシップ・セパレートシステムを採用し、ラインナップの中核を担うという「M23」を4月26日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は125,400円前後。

通常モデルに加え、M23の筐体素材をアルミニウムからステンレススチールに変更した台数限定生産のバリエーションモデル「M23 Stainless Steel」も同日発売。こちらの店頭予想価格は159,500円前後。

「M23」
「M23 Stainless Steel」

M23最大の特徴は、AKM(旭化成エレクトロニクス)の最新世代フラッグシップDAC「AK4191EQ+AK4499EX」を採用した事。デジタルフィルターとデルタシグマ変調を担当するAK4191EQと、アナログDACを担当するAK4499EXからなるセパレートDACで、デジタル処理とアナログ処理という性質の異なる機能をチップレベルで分離することに加え、抵抗素子の個体差を平準化する「DWA Routing Technology」を組み合わせ、チップレベルでのSN比を向上させている。

これにより、「先代フラッグシップモデルからの数値的な改善のみならず、質感の表現までこだわり抜いた新世代のDACシステム」になっているとのこと。M23ではDAPおよびUSB DACとしてPCM 384kHz/32bit、DSD 256の再生に対応。USB送出時にはPCM 768kHz/32bit、DSD 512に対応する。

FIIOの特許技術「DESKTOP MODE」も搭載。給電専用のUSB-Cポートへ電力を供給し、バランス出力 + スーパーハイゲインモードに設定することで、最大1,000mWに達する大出力が可能となり、デスクトップ型のヘッドフォンアンプに迫る出力と音質を実現。

給電ポートでの外部電源供給により、音声信号用のUSB-Cポートからの電力消費をカットでき、送出機器の電力消費を抑えた長時間使用も可能になっている。

底面端子部

FIIOとTHXが共同開発した「THX AAA-78+」ヘッドフォンアンプ回路を2基搭載。M11 plusやM11 Proで採用されたTHX AAA-78にさらに磨きを掛け、改良を施したTHX AAA-78+アンプは、THXの特許技術であるフィードフォワード補正技術とニュートラルな音質を追求した設計手法が特長。「音の消えぎわの表現やサウンドステージ上に忠実に復元されたディテールを追体験でき、まるでレコーディングスタジオにいるかのようなサウンドをもたらす」という。

「THX AAA-78+」ヘッドフォンアンプ回路を2基搭載

ヘッドフォンアンプ部はAAA-78回路をベースとして第二世代に進化し、チャンネルあたり4基のアンプ回路からもたらされるシャープな低域の駆動力と、IEMでもノイズが目立たないさらなる低ノイズ化を実現した。

DAC、I/V、LPF、電圧増幅、並列駆動などのオーディオ回路設計も進化。I/Vと LPF部には、それぞれ低ノイズで高精度なオペアンプ「OPA1612」を2基採用。電圧増幅部には低ノイズ・高帯域のオペアンプ「OPA1662」を2基搭載し、音質を高めた。

特別に選定された低抵抗な急速充電対応バッテリーを採用し、最大30Wの充電スピードを実現。約1時間の充電で80%の充電が可能で、8時間以上の再生時間分を充電できる。

バッテリーの充電モードを適切に制御することで、バッテリー寿命を確保しつつ、短時間での急速充電を実現。バッテリー容量は5,500mAh。保護回路の設計や材料の選定に配慮することで高い信頼性、高寿命、安全性を確保したという。

デジタル信号処理の要となる、FPGAを中心としたデジタル領域の信号処理回路に、完全新規設計となる「Digital Audio Purification System」(DAPS)を採用。

SoCから送られたデジタルデータは、FIIO独自のPLL技術を搭載した第4世代FPGAを経由し、FPGA内でデジタルオーディオ信号としてDACが最も真価を発揮しやすいよう緻密に処理。DAPSに組み込まれた超低ジッターを実現する2基の特注仕様のNDK製フェムト・クロック水晶発振器により、デジタルオーディオ回路部全体に高精度かつ低ジッターなマスタークロックを提供し、クリーンで極めて高い忠実度を誇るD/A変換が可能という。

電源設計ノウハウを盛り込み、オーディオのための最適な電源設計も実施。電源回路は、4系統20ラインに及ぶネットワークにより構成され、デジタルとアナログそれぞれ独立に安定した電気音響の基礎を形成。これにより、システムの持つポテンシャルを最大限に引き出し、デスクトップオーディオに匹敵するパフォーマンスを実現したとする。

大小4つずつで構成されたコア・アーキテクチャを採用した、Qualcomm製SoC「Snapdragon 660」も搭載。高い処理能力を持つだけでなく、音楽再生時は超低消費電力で動作することで、長時間に及ぶ連続再生時間を実現している。メモリーは4GB。内蔵ストレージは64GB。microSDカードスロットも備えている。

DAC、I/V、LPFおよびTHXアンプなど、それぞれのセクションのパフォーマンスを最大限に引き出すために、高精度のフィルム抵抗や28個の高容量ポリマータンタルコンデンサを採用。LPF部では、パナソニック製のフィルムコンデンサを採用し、高い信頼性とより精密な出力特性を実現。

さらに、デジタルコアモジュール、DAC、HPアンプ部といった核となる回路ブロックを分離独立させた設計とし、シールドも施すことで、クロストークや外部からのノイズ影響を極限までを抑制した。

すべてのコネクタ、ポート部に専用に設計された金属パーツを配置し、構造的な強度も確保。高い耐久性と信頼を実現したとする。

大容量のバッテリーは、ステンレス性のメタルケースに収納。放熱性と堅牢性を確保した。

Bluetooth送信では、SBC/AAC/aptXに加え、aptX HD/LHDC/LDACといったハイレゾワイヤレス対応コーデックもサポート。Bluetoothレシーバー機能も備え、SBC/AAC/LDACをサポートする。

FIIO独自に開発したチューニングアルゴリズムに基づく10バンドパラメトリック・イコライザーも搭載。OSは、FIIOカスタム仕様のAndroid OS。DLNA経由でNASやローカルネットワークの曲をストリーミング再生したり、UPNP/SMB/WebDavなどを介してクラウドの音楽を聴く事も可能。Roon Ready認証も取得中。

筐体デザインは、従来モデルの3Dカットデザインを継承。六角形のハニカムデザインがデザイン要素にアクセントになっている。ボリュームボタンに加え、タッチパネル複合型ボリューム調整機構を採用。占有スペースを少なくすることで他の重要な部品のためにより多くのスペースを残す効果もある。

アナログ出力端子部分

アナログ出力端子は、シングルエンドライン出力兼用3.5mmヘッドフォン端子と、バランスライン出力兼用の4.4mmヘッドフォン端子。デジタル出力端子は3.5mm 4極S/PDIF出力(3.5mmヘッドフォン出力と排他)。

外形寸法は136.5×75.7×18.1mm(縦×横×厚さ)で、重量は約299g。M23 Stainless Steelは約392gとなる。

なお、標準モデル用に別売でM23専用ケース(オープン/実売6,160円前後)も発売する。このケースは、M23 Stainless Steelには標準で付属する。

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