ソニー、新フラグシップサウンドバー「HT-A9000」。単体で独自立体音響に対応/約36%の小型化も

ソニーは、「306 Spatial Sound Mapping」にサウンドバー単体で対応したフラグシップ・サウンドバー「HT-A9000(BRAVIA Theatre Bar 9)」および、「HT-A8000(BRAVIA Theatre Bar 8)」の2モデルを6月1日に発売する。価格は両モデルともオープンだが、市場予想税込価格はHT-A9000が210,000円前後、HT-A8000が140,000円前後としている。

「HT-A9000」
「HT-A8000」

HT-A9000は「HT-A7000」の後継機で約3年振り、HT-A8000は「HT-A5000」の後継機で約2年振りのモデルチェンジとなる。両モデルとも立体音響技術の進化、音質の向上、そして前モデルからの大幅の小型化が特徴となる。

両モデルに共通して、トゥイーターとウーファーを組み合わせた新開発の2ウェイ・スピーカーをセンターとフロントLRに搭載。センターには新規開発の大口径22mm ソフト・ドーム・トゥイーターと45×90mm 「X-Balanced Speaker Unit」を2基組み合わせたもの、フロントLRにはハイレゾ再生に対応した10mm ソフト・ドーム・トゥイーターと同じく45×90mm「X-Balanced Speaker Unit」がセットなったスピーカーと採用している。

センタースピーカーには22mm トゥイーターと「X-Balanced Speaker Unit」と採用
フロントLRには、10mm トゥイーターを採用した2ウェイ構造を導入

2ウェイ・スピーカーを各ユニットに使用したことで、「従来よりも高域・中域の音がクリアに再生できるようになったため、映画やドラマといったコンテンツでのセリフ、音楽コンテンツではボーカルの明瞭な再現に繋がっている」とアピールした。

新たに採用されたサイドスピーカーは、フルレンジ・46×90mm「X-Balanced Speaker Unit」によってサラウンド成分とアンビエントサウンドを再生させることで水平方向への自然な広がり感の再現を実現。イネーブルドスピーカーにも同じくフルレンジ・46×90mm「X-Balanced Speaker Unit」を導入しており、高さ方向のサウンドを再生させている。また、サイドスピーカーとイネーブルドスピーカーはHT-A9000とHT-A8000の両方で同じ仕様となっている。

サイドスピーカーは、TH-A9000とTH-A8000で共通

HT-A9000のみ、低音増強のためのパッシブラジエーターを4基、高音域のサラウンド感を高めるために指向性の強いビームトゥイーターを2基搭載しており、フラグシップモデルならではの作り込みが図られている。また、前モデルのHT-A7000ではサブウーファーを内蔵していたが、「HT-A9000はサブウーファーの代わりにウーファーとパッシブラジエーターの数を増やすことで、十分な低域再生を実現しながらも、サイドスピーカーを備えることでサラウンド感をさらに高めている」と、フラグシップモデルとしての強みを明らかにした。

写真右、TH-A9000はサイドスピーカーにビームトゥイーターも追加されている

HT-A9000のスピーカー構成は、トゥイーター×3基、ウーファー×4基、イネーブルドスピーカー×2基、ビームトゥイーター×2基、サイドスピーカー×2基、パッシブラジエーター×4基、全13基のスピーカーで実用最大出力は585W。HT-A8000のスピーカー構成は、トゥイーター×3基、ウーファー×4基、イネーブルドスピーカー×2基、サイドスピーカー×2基、全11基のスピーカーで実用最大出力は495W。アンプは両モデルともデジタルアンプ「S-Master HX」、高音質化機能「DSEE Ultimate」を採用する。

TH-A9000のスピーカー構造
TH-A8000のスピーカー構造

両機とも前モデルからスピーカー数を2基ずつ増やしながらも、大幅な小型化を実現したこともポイント。HT-A9000は外形寸法が約1300W×64H×113Dmm、質量が約5.5kgとなっており、HT-A7000から幅は同一で、高さは16mm、奥行きは29mm、質量は約3.2kgのコンパクト化させ、体積比は約36%減を成し得ている。ベゼルはアルミ仕様。

TH-A9000とTH-A7000を比較。横幅は同じだが奥行きがコンパクトになった
TH-A9000はTH-A7000よりも、高さが16mm減となっている

HT-A8000は外形寸法が約1100W×64H×113Dmm、質量が約4.7kgとなっており、HT-A5000と比較して、幅は110mm、高さは3mm、奥行き16mm、質量は約1.4kgのコンパクト化、体積比は約30%減を叶えている。ベゼルはプラスチック仕様。

TH-A8000とTH-A5000を比較。幅が110mmも小型化されている
TH-A8000はTH-A5000は高さが3mm減、奥行き16mm減となる

大幅のコンパクト化を実現したことで、インテリアマッチに優れたデザインながらも、テレビの脚元の前面に置きやすく、テレビ画面との被りのない設置が可能。また、HT-A8000は横幅が短くなったことで、中画面サイズのテレビにも組み合わせやすくなっている。

新モデルの2機種を並べたところ。写真上がTH-A8000、写真下がTH-A9000

実際にあるリアルのスピーカーに、複数のファントムスピーカーを生成して仮想音源を加えることで、音に包まれるような立体音響空間を形成する、独自の立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping(サンロクマル スペーシャル サウンド マッピング)」も進化した。

従来までは、サウンドバーとオプションアイテムとしてラインナップされているリアスピーカーを組み合わせることで「360 Spatial Sound Mapping」に対応していたが、新モデルからはサウンドバー単体でも使用できるようになったことが大きな特徴。サウンドバー単体の場合は、前方から側方に掛けて5ch分のファントムスピーカーを生成することで、前面から側方に掛けて高い包囲感を得られるという。

サウンドバー単体の場合は5個のファントムスピーカーを生成

また、サウンドバー+リアスピーカーの場合は前後左右に取り囲むように、リアスピーカー「SA-RS5」では11ch分、「SA-RS3S」では9ch分のファントムスピーカーを生成することで、前面から側方、さらに後方に掛けて包み込まれるような臨場感を再現できるとしている。

サウンドバーとリアスピーカー「SA-RS5」を組み合わせた場合は11個のファントムスピーカーを生成

内蔵キャリブレーションマイクを用いた、「自動音場最適化機能」もブラッシュアップ。サウンドバーから天井および側壁までの距離、そしてオプションのリアスピーカーまでの距離を測定し、スピーカーの設置位置に関わらず理想的な音響特性を再現する機能は従来から継承しつつ、新たに視聴位置に応じた音響特性の最適化を実現している。アプリ「Sony | BRAVIA Connect」から設定でき、ワンタッチで視聴位置を識別し、リスニングポイントに適した高精度な音場再生が可能となった。

アプリ「Sony | BRAVIA Connect」のGUIイメージ(最終仕様とは異なる)

また、立体音響技術を活用したアップミックス再生も対応し、リモコンの「サウンドフィールド」ボタンでオンにすることで、ネット動画や放送番組の音声をリアルタイム分析して3Dサウンドに変換。さらにAI解析を用いて声の音を抽出することで、空間再現による音場感とクリアなセリフを両立した再生を実現する。

リモコン部

オプションスピーカーの設定やサウンド調整といった詳細設定をはじめ、ユーザーサポート機能、ソフトウェアアップデートの操作などを含む全操作は、新たなコントロールアプリ「Sony | BRAVIA Connect」で行う仕様になった。購入時の初回セットアップもアプリから操作可能。セットアップガイドが付いているため、設置方法もわかりやすいものになっているという。

付属リモコンはシンプルな構成になっており、電源/入力切替/音量調整/低音レベル調整/消音/サウンドフィールド切替/ボイスモード/ナイトモードといった、日常的に使う機能に絞り、片手で操作しやすいボタン配置を採用する。

HT-A9000とHT-A8000には新開発の無線干渉用アンテナを搭載しており、適切な周波数帯域に自動的に接続する。電源を入れた際に空いている周波数帯域を検索して空きチャンネルに接続、さらに電波干渉を感知した場合でも、別の空きチャンネルを選んで自動接続することで、無線接続の安定性を高めている。

オプションスピーカーは、サブウーファー「SA-SW5」「SA-SW3」とリアスピーカー「SA-RS5」「SA-RS3S」を組み合わせることができる。また、リアスピーカーの出力の調整範囲が広がっており、従来モデルは+6dBだったが新モデルでは+10dBにアップしている。

主な対応オーディオフォーマットは、360 Reality Audio、Dolby Atmos(Dolby TrueHD/Dolby Digital Plus)、Dolby TrueHD、Dolby Digital Plus、Dolby Digital、DTS:X、DTS HD Master Audio、MPEG-4 AAC、MPEG-2 AAC、リニアPCM(7.1ch、5.1ch、2ch、192kHz/24bit)。BluetoothコーデックはSBC、AAC、LDACに対応する。ワイヤレス機能として、AirPlay2、Spotify Connectもカバー。入出力端子は、HDMI入力×1基(8K、4K/120Hz)、HDMI出力×1基(eARC/ARC)を装備する。

HT-A9000の入出力端子。HT-A8000も共通
HT-A9000の電源端子部。メガネケーブルに対応しており、HT-A8000も共通

© 株式会社 音元出版