県内市町村、応援職員足りない 技術職の不足顕著、災害頻発が影

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い他の自治体から県内市町村に派遣された応援職員の不足が目立っている。市町村が必要とした応援職員数をどれだけ満たしたかを示す本年度の充足率は1日現在で85.6%となり、過去10年で最低水準だった。特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除などを受け、特に技術職員の不足が著しい。能登半島地震など各地で頻発する自然災害も、応援職員の確保に影を落としている。

 震災に関連し、県内の市町村が必要とした応援職員数と充足率の推移は【グラフ】の通り。充足率は2018年度から90%台を維持してきたが、11市町村が応援職員を求めた本年度は過去10年で最低の16年度(85.5%)と同水準まで下がった。8年前はハード事業や避難者支援などにより、応援職員の需要が最盛だった頃だ。

 市町村別では、双葉町74.4%、富岡町84.8%、浪江町86.3%、飯舘村86.7%など、22~23年度に復興拠点の避難指示が解除された町村で不足が目立つ。4町村は要望人数も前年同期を上回り、任期付き職員の採用などで確保に努めるものの、追い付いていない。

 自主採用を含めた職種別の充足率は、一般(事務)が94.4%だったのに対し、建築73.3%、農業土木80.0%、保健師82.8%と、技術職員の不足が際立つ。

 自治体側が要因の一つとみるのが自然災害の頻発だ。最近も事前の交渉で好感触を得ていた自治体が「やはり難しい」と見送りに転じた事例があり、関係者は「能登半島地震の影響もある」と推測する。

 民間との間でも人材獲得競争は激化。建設業では今月から時間外労働の上限規制が適用され、人手不足に拍車をかける形となった。「2024年問題」と呼ばれ、来年の大阪・関西万博の建設工事など幅広く影響を指摘する声が出ている。

 応援職員の人件費などは一般に国が8割を負担するが、東日本大震災は復興特別交付税で全額賄われる。25年度に終了する第2期復興・創生期間後は財源、制度がともに未定のため、本県関係者の間では応援職員の先行きに影響しかねないとみる向きもある。

 県市町村行政課は「避難解除でようやく復興の途に就いた自治体もあり、応援職員はまだ当面必要だ」と強調。「派遣元の新規開拓など、国と連携しながら対応を続けたい」としている。

 ■応援職員 大規模災害に遭った地方自治体の復旧、復興を支援するなどの目的で全国の自治体が派遣する職員。総務省が必要な業種や人数を聞き取り、全国市長会や全国町村会を通じて派遣するケースが多い。本県では、2019年10月の東日本台風や23年9月の記録的豪雨でも派遣を受けた。

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