自分のニオイを付けて安心したいから! 猫がスリスリする理由

愛猫が壁や飼い主さんの足などに“スリスリ”するしぐさは、飼い主さんなら日常的によく目にしている光景でしょう。猫はこのしぐさをいったい何のためにしているのでしょうか。今回は、猫がスリスリする代表的な理由のなかから、「自分のニオイを付けて安心するためのスリスリ」について、愛玩動物看護師の小野寺温先生に伺いました。

スリスリして分泌腺から出るニオイをこすり付ける

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫の生活において、ニオイにはとても重要な意味があります。猫は、自分のニオイを付けることで安心するため、自分がよく知っている場所や物、人などに、体表にあるニオイの分泌腺をこすり付けてニオイを付けます。そしてそのニオイを嗅ぎ、「これは自分がよく知っている場所・物・人だ」と確認できると安心するのです。

体のいろいろな部位をこすり付ける理由

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫のニオイの分泌腺は、鼻先~額~後頭部、頬、あご、首まわり、脇~体側、臀部、しっぽの付け根、肉球と、体表の広範囲に分布しています。とくに顔まわりは強いニオイが出るため、安心するためのスリスリでは、頬をゴリゴリとこすり付けることが多いでしょう。

安心のためのスリスリはこんなときにする!

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

猫が安心のためのスリスリをするのは、次のようなときです。

家の中を歩いていて通りすがりに

“自分の場所”と認識している空間を自分のニオイで満たすため、壁の角や柱、家具などの決まった場所に、おもに頬、あご、臀部をこすり付けます。

飼い主さんが帰宅したとき

外から帰ってきた飼い主さんの衣服や持ち物には、いろいろな知らないニオイが付いています。それらを打ち消し自分のニオイを付けることで、安心感を得ようとします。

お風呂上がりの飼い主さんに

飼い主さんがお風呂で体を洗うと、自分のニオイが消えシャンプーなどのニオイが付くため、自分のニオイを付け直そうとします。

見知らぬ荷物に

外から持ち込まれて自分のニオイが付いていない荷物などにも、自分のニオイを付けて安心しようとします。

同居猫2匹がこすり付けた場所は、あとからこすり付けたほうのニオイが上書きされる?

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー

2匹の猫が同じ場所にスリスリした場合、先にこすり付けたほうのニオイがなくなるわけではありませんが、あとの猫のニオイのほうが強くなるでしょう。しかし、2匹の関係が悪くなければ、上書きというよりもお互いにニオイを何度も塗り直すことで、同じ場所を共有している気持ちでいるかもしれません。

何気なくしているように見える猫のスリスリ。しかし、理由のひとつは「自分のニオイを付けて安心するため」であるようです。猫がスリスリしているときの気持ちを想像して、愛猫のことをもっと理解したいですね。

お話を伺った先生/小野寺温先生(帝京科学大学講師 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2024年3月号『理由ごとにキモチを解説! 猫の王道しぐさ スリスリ3』
文/小林けい
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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