刷新か継続か… 12年ぶりの長与町長選 新人・谷川候補と現職・吉田候補の一騎打ち 長崎

 任期満了に伴う長崎県西彼長与町長選の投開票が21日に迫った。届け出順に、いずれも無所属で新人の会社役員、谷川任宏氏(58)と、4期目を目指す現職の吉田愼一氏(73)=立民、公明、社民推薦=の一騎打ちとなった。過去2回は無投票のため選挙は12年ぶり。刷新か継続か。選挙戦を取材した。
 子育て支援など両候補の掲げる町の課題に大きな隔たりはない。最重要視しているのは共に人口減少対策だ。長崎市のベッドタウンとして歩んできた長与町だが、2004年7月の4万2951人がピーク。昨年6月には3万9967人と4万人を割り込んだ。
 どう歯止めをかけるか。谷川候補は「長与は人に頼っている町。人口が減れば税収も減る」として、ICT企業を誘致し、I、Uターンを促すと主張。吉田候補は町南部の土地区画整理事業の実績を背景に、団地や道路といった「人が入って来やすい」環境整備を進めると訴える。
 谷川候補は福岡県出身。2000年から同町で暮らす。長崎市で医療、福祉の給食受託業務を手がける会社の代表。「コミュニティーバスの運行」「第1子から一律保育料無償化」を掲げ「町の皆さんと一緒に町政を」と訴える。
 組織票に乏しく、朝夕は辻立ちでアピール。町内世帯を3巡しリーフレットを配った。対話形式の集会も開いたが「知名度不足は否めない」と支持拡大に奔走する。
 吉田候補は同町出身。地元民放に勤務し12年前、当時の現職を破り初当選した。引き続き「子育て、教育、健康づくり」などに取り組むとし「幸福度日本一」「100年安心の街づくり」をスローガンに掲げる。
 後援会を中心に活動。自民長与支部や連合長崎のほか、政党や企業、団体、個人から推薦を受ける。多選への批判や無関心層の動向を注視しながら、陣営は上滑りを警戒する。
 町議の再選挙も告示され、新人6人が1議席を争っている。町長選両陣営は同時選挙の効果で、昨年4月の町議選(44.0%)の投票率を上回ることを期待する。
 選挙カーは候補者名を連呼しながら町を巡っている。しかし、町外で働く人も少なくなく「候補を知らない」と関心の薄さが懸念される。一方、吉無田郷のパート女性(55)のように「(町長の)選挙のない時代が続いたので、自分の票がどうなるか気になる」と1票に託す声も聞かれた。
 選挙人名簿登録者数は3万2945人(男1万5448、女1万7497)=15日現在、町選管調べ=。

© 株式会社長崎新聞社