技術は二の次!? ファミコンからスイッチまで「ボタン連打こそ正義」なゲームたち

ファミコン『スターソルジャー』(編集部撮影)

最初の競技でいきなり連打力を求められる1985年発売のファミコン用スポーツゲーム『ハイパーオリンピック』をはじめ、かつては連打・連射が勝負のカギになるゲームが多かった。

特にファミコン全盛期には、高橋名人がテレビ番組などで「16連射」を披露して一世風靡。子どもたちの憧れの的にもなった。1987年にはハドソンから「シュウォッチ」なる、10秒間の連打速度を計測できるおもちゃまで発売されている。当時の子どもたちは指で叩くだけでなく、定規を使ったりガチャポンケースを使ったりと、試行錯誤しながらいかに早くボタンを連打するか切磋琢磨したものだ。

複雑な操作ではなく、ひたすら早くボタンを叩くことでゲームを攻略していくという、シンプルな面白さは今になっても変わらない。今回はファミコンからNintendo Switchまでの、「連打・連射こそ正義」なゲームを見ていこう。

■王道連射シューティング『スターソルジャー』

「連射こそ正義」なゲームとして外すことができないのは、1986年にハドソンから発売されたファミコン用ソフト『スターソルジャー』だろう。同社から1985年に発売された『スターフォース』をさらに進化させた、縦スクロール型のシューティングゲームだ。

スーパーファミコン以降のシューティングゲームは、ボタンを押しっぱなしにすることでショットが自動で連射される機能が当たり前となったが、ファミコン時代には、「連射」が途中で入手できるパワーアップの1つになっていることも多かった。本作も同様で、基本は弾を1回撃つごとに、ボタンをきっちり1回押さなければいけなかった。

そのうえ弾は貫通しないため、耐久力が最低の敵でも倒すのに1発は必要。ボスとなると32発必要な敵も現れる。左右から現れる敵を同時に撃破したり、合体前のわずかな時間で撃破することでボーナススコアを入手できる敵も存在する。なので、パワーアップアイテムやボーナススコアを的確に入手する知識と、それをクリアするための殲滅力に直結する「連射力」が試されるゲームとなっている。

高橋名人が前作『スターフォース』で「16連射」を披露したことでファミコン名人として一気に人気となり、その後、ハドソンによる全国キャラバンゲーム大会では、『スターソルジャー』の連射力が競技性の一部とされた。

同作は高橋名人がプレイしたゲームの代表作でもあり、映画『GAME KING 高橋名人 VS 毛利名人 激突!大決戦』では、スターソルジャーのステージ中、常に連射を維持しつつ、自機のコントロールもほぼ完璧に行う腕前を見ることができる。まさに子どもたちが憧れた「連射」テクニックだった。

■少しも衰えていなかった高橋名人の「れんだでサンボ」

次は、すごろくとミニゲームを掛け合わせたゲーム性の『マリオパーティ』シリーズ。NINTENDO64からスタートした、最大8人でワイワイ遊べるパーティゲームだ。

中でも、2021年に発売となったNintendoSwitch用最新作『マリオパーティ スーパースターズ』に収録されているミニゲームの1つ「れんだでサンボ」は、純粋に連打力を求められるゲーム。積み上がったサボテン型の敵キャラ「サンボ」をハンマーで落としていくスピードを競うもので、ひたすらボタンを連打するという非常にシンプルな内容だ。

ゲーム終了時にタイムも表示されるため、純粋な連打力を計るためのゲームとしても注目されていて、動画サイトやSNSなどでは「れんだでサンボ」で連打自慢をしたり、プレイした人の連打力を推し量ったりされて、断続的に話題に上がることとなっている。

そして、このゲームでも、前述の高橋名人による高度なテクニックが再びファンを驚かせることとなった。

これについても高橋名人は、凄まじい連打の腕を披露している。2022年5月、高橋名人がYouTubeでこのゲームをプレイ動画をアップし、その記録は5.16秒。これは1秒間に12連射をしている計算で、全盛期の16連射と比べると見劣りするものの、衰えない連射力にファンからは驚きの声が上がった。しかも、「こすり」ではなく「たたき」での記録ということで、令和の今もなおトップクラスの連射力を持つ高橋名人には感嘆するばかりだ。

■突如連打要素が全面に押し出された『がんばれゴエモン』

レトロアクションゲームの中でも有名な『がんばれゴエモン』シリーズ。その中でも、1995年にコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)から発売となったスーパーファミコン用アクションゲーム『がんばれゴエモン きらきら道中 ~僕がダンサーになった理由~』は、シリーズ屈指の連打ゲームでもある。

通常ステージは横スクロールアクションが採用されており、ボス戦がミニゲームになっているという、シリーズの中でも独特な作りとなっている本作。そのミニゲームに、連打要素がかなり多いのである。

真剣白刃取りをした後に、押し返すためにボタン連打する「バンジー真剣白刃取り」に加え、「ふすまのぞきクイズ合戦」での絵を当てるクイズでも、絵を見られる範囲が連打が速いほど広くなる。レースゲーム「からくりサバイバルレース」では、連打が速いほど自機の速度が速くなるし、さらにラスボス戦でも連打が必要だったりと、何かにつけて連打力が試される「連打こそ正義」なゲームだったのだ。

『がんばれゴエモン』シリーズはそれまでは連打力が必要なかったゲーム性だったが、本作で突然、連打要素がふんだんに盛り込まれた。そのため、シリーズをプレイしてきた『がんばれゴエモン』ファンほど、『きらきら道中』のインパクトは大きかっただろう。

同じボタンをいかに速く連打するかというゲーム性は、近年では少なくなってしまった。しかし、ストイックすぎるがゆえに、競技性まで持ち得たのが「連打・連射こそ正義」なゲームの魅力だともいえるだろう。あなたはどんなゲームを思い浮かべるだろうか。

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