福岡よしもとの有望株・とらんじっと「自分たちにも優勝するチャンスはある」

福岡よしもと所属のお笑いコンビ・とらんじっと。地元の福岡県を中心に活動している二人は、「福岡ネクストエイト」と呼ばれる福岡イチ推しの芸人のなかにも入っており、今後、全国区での活躍が期待されている。ニュースクランチのインタビューでは、4月20日に単独ライブを開催する二人に意気込みを聞いた。

▲とらんじっと【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

少年野球チームのライバルだった二人

――お二人は高校の同級生とのことですが、お互いの第一印象は覚えていますか?

あらた:高校の同級生でもあるんですけど、初めに会ったのは8歳くらいの頃なんです。宗像市にある少年野球チームのライバルだったんですよ。お互いレギュラーで試合に出ていたので覚えていますね。

当時、原のほうが身長も高くて体も大きかったんですよ。でも、そのわりには体を使ってプレーできていなかったので、下手だなぁって。“俺がお前の体だったら、もっと上手いけどな”と思っていました。僕は小さいけどセンスがあるタイプでした。

原ノコシ(以下、原):一発目からめちゃくちゃうるさいな。なんで、そんなすまし顔で淡々とそんなことが言えるの? 僕も第一印象は少年野球の印象になっちゃうんですけども、飛びつかなくてもいい打球に「これでもか!」ってくらいに飛びついていたりしていたので、“目立ちたがり屋だな”と思っていました。

――「お笑いやろう!」という話になったのは、高校生になってからですか?

あらた:そうです。中学生の頃、通っていた学校は違うけど、塾だけ一緒だったんですよ。お互い真剣に勉強するというよりは、おふざけしに塾に行っているみたいな感じで(苦笑)。

そこで、「将来はお笑い芸人になりたいな」みたいなことを言っていて、高校3年生の文化祭でお笑いを披露する機会が巡ってきて、「出てみようか」っていう話になりました。

――高校の文化祭が、とらんじっとの初舞台ということですね。初舞台のウケ具合はどんな感じだったんでしょうか?

あらた:初舞台はトリオで出たんです。今の時代にこんなことを言っていいのか……もう一人いた男がびっくりするぐらいブサイクで。顔イジリでネタを作って披露したら、めちゃくちゃウケましたね。本当に身内ノリのお笑いという感じでしたけど(笑)。

――いつから、あらたさんと原さんで活動するようになったんですか?

あらた:ハイスクールマンザイもトリオで出て、大学卒業後に入ったNSC福岡の2期生で主席を取ったときもトリオでした。

原:その後、デビューしたんですけど、すぐにコロナ禍になってしまったり、いろいろな事情が重なって脱退し、僕たち二人になりました。

福岡よしもとの「おもてなしの精神」

――ご出身地である宗像市の観光大使(仮免許)を務めていらっしゃいますが、それぞれ街の魅力的だと思う部分を聞かせてください。

あらた:僕が育ったとは思えないくらい、控えめな町なんですよ。ディスっているとかじゃないんですけど、めちゃくちゃいいところあるのに、なかなか上手く伝わってなくて……。足を運んでくれた人は魅力を感じてもらえると思うんですけど。そんな控えめなところも好きですが、もっと積極的に街の魅力を僕たちが発信したいです!

――名産品といえば、何になるのでしょうか?

あらた:『玄ちゃんアジ』ですね。玄界灘の荒波にもまれて育ったので、めちゃくちゃおいしいんですよ。近くに『呼子のイカ』とか『下関のフグ』などがあるので、ちょっと知名度は劣るかもしれませんが、味は負けていません!

――原さんはいかがでしょうか?

原:地元のひいき目があるかもしれないですけど、田舎と都会の良いところを併せ持っているかなと。子どもを育てる環境としてはすごくいいと思うんですよ。遊ぶところも適度にあって、自然もあって。実際、そう思っている方が多いのか、小学校に行くと人数もすごく多いんです。宗像市を知っている人だったら、自分の子どもが生まれたときは“ここで育てたい”と思う街なんじゃないかな。

▲出身地の宗像市の良いところを語ってくれた

――所属されている『福岡よしもと』は、今かなり盛り上がってきていて、素晴らしい劇場もありますが、福岡よしもとの誇りみたいなものってお持ちですか?

あらた:誇りとはちょっと違うかもしれないんですけど、「おもてなしの精神」は常に持っています。お客さまには「お笑いのおもてなし」。東京だと各地から人が集まってくるから、「地元ネタ」ってあんまりないと思うんですよ。

でも、福岡は地元ネタが豊富なんです。たとえば「西鉄バス、遅れがち」みたいな。地元のあるあるネタって、何かしら共感を生むと思うんです。なので、そういったネタも織り交ぜて、来てくれたお客さまを喜ばせたいと思っています。

M-1チャンピオンからの金言

――福岡に劇場ができて、関東や関西の先輩方と触れ合う機会が増えたと思うのですが、印象的だった出来事やかけられた言葉みたいなものがあったら教えてください。

あらた:印象的な言葉でいうと、令和ロマンの(髙比良)くるまさんからもらった言葉ですかね。ありがたいことに可愛がってもらっているんですけど、『M-1』優勝する1週間前ぐらいに僕が誕生日プレゼントをいただいてから、その流れでLINEが続いていたんです。そのときに優勝されて「優勝おめでとうございます!」とLINEを送ったら、くるまさんから「お前らでもいけるってことを証明してきたぞ!」って返信がきたんですよ。

――かっこいいですね。

あらた:「若いから、地方だから」っていうのは関係ないんだなと。決勝戦にまで行けたらみんなに(優勝の)チャンスがあるっていうのを証明してくれて、その言葉は心が震えました。

――原さん、思い浮かぶ言葉などありますか。

原:インディアンスの田渕(章裕)さんとお酒をご一緒させてもらったときに「周りのやつらは“面白くない”とかネガティブなことを言ってくるかもしれない。でも、どんな手を使ってでもウケさえすれば勝ち」って、サラっと言われたんです。その言葉を聞いたときに田渕さん自身が体現しているなって。すごい説得力があったというか。

▲先輩からいただいた金言を教えてくれた

――とらんじっとさんは「福岡ネクストエイト」と呼ばれるメンバーに入っていますね。

原:福岡よしもとの社員さんたち……偉い方々も含めて、たくさんの若手を長期間にわたって見ていただいて、そのなかから選抜していただいた8組が福岡ネクストエイトと呼ばれています。自分たちで言うのもなんですけど、推していきたいのがその8組なのかなという認識ではありますね。

狙うは優勝のみ! 『UNDER5』ラストイヤー

――『M-1グランプリ2023』は3回戦で敗退という結果でした。この結果については率直にどう受け止めていますか?

あらた:まず、これまでと変えた部分として、東京じゃなくて大阪で受けるようにしたんです。

――それは何か理由があるんですか?

あらた:ありがたいことに、東京や大阪の劇場に出させてもらう機会をいただけることが増えてきて、出るうちに空気感とかも肌でわかるようになってきて。大阪のほうが、ネタのウケ具合の感触が良かったんです。作戦が功を奏して2回戦は突破できたんですが、3回戦で敗退となり……。同期や年齢の近い人たちがもっと上に行っているんで、悔しいですね。

振り返ると、ボケの僕からすると「範囲を決めちゃっていたかな」って。例えば「1ボケの顔の作り方はここら辺でいいだろう」みたいな。そうじゃなくて、そこを飛び越えて、顔の作り方でもう1つ、2つ上の笑いをとれるように、そこも作っていこうと。

――大きい大会の前には二人で会議みたいなものはされるんですか?

原:話し合うためだけに時間や場所を決めてというのはないですね。ただ、賞レース前とかは、普段の会話のなかで“今までやったネタで一番反応が良かった”と感じたものを話し合って、やるネタを決めています。

――とらんじっととして「今年はこれを必ず成し遂げたい!」ということはありますか。

あらた:『UNDER5』の決勝、『M-1』の決勝は見に行きたいなって。見に行ったら何か自分の中で変わるかなと思っています。

原:見に行きたい…!? 舞台に出るのではなく、お客さんとしてってこと? なに言ってるの?

あらた:『UNDER5』はラストイヤーなので優勝したいです。

二人でやる“単独”へのこだわり

――とらんじっと単独ライブ「TRANSIT×TRANSIT BLANC」が4月20日にあります。昨年末にも開催されているので、ハイペースで単独ライブをされていますよね。

あらた:年に1回だと、予定があって来られない方もいると思うんです。なので、単純に来ていただける機会を増やせたらなと。あと、単独ライブって気持ちいいんです。その気持ちを何回も味わいたいなって。

――「単独の気持ちよさ」って具体的に言うと?

あらた:自分たちしか見られてない、というところですね。来てくださる方みんな、お金と時間かけて、自分たちを目当てにしてくれている。だからこそ、こっちもフルスイングで最高のものをお届けする。舞台に立ったときに、どんなパフォーマンスが出せるかっていうのは自分自身も楽しみもあるし、終わったあとに一番疲れてるけど、一番気持ちいいのが単独ライブなので。

原:二人とも“単独”にこだわりは持っています。この先はわかりませんが、できればゲストは呼んだりせず、二人だけで舞台に立つ姿をいつまでも見せ続けたいです。あらたの言った「気持ちいい」っていうのも、二人で挑戦するからこそなのかなって。

――4月の単独で新たに挑戦しようと思っていることがあれば教えてください。

あらた:基本的には何も変わらないです。僕たちの単独ライブは、ネタとコーナーの割合が半々くらいなんです。一番のコンセプトは、「お客さんを巻き込む」こと。舞台が楽しいんじゃなくて、空間全部を楽しくしたい。劇場の後ろの壁から前方のステージの壁まで、全部を“楽しい”で埋めつくしたい。それを単独ライブのコンセプトとしてやっています。ぜひ劇場に見に来てほしいです!

▲4月20日の単独ライブ「TRANSIT×TRANSIT BLANC」見に来てください

お互いの良いところを教えてください

――お二人が出会ったきっかけでもある野球ですが、特にあらたさんは熱狂的な野球ファン、ソフトバンクファンとお聞きしています。シーズンが開幕しましたが、気になる選手がいたら教えてください。

あらた:もちろん、ソフトバンクファンですが、野球に関することで誰にも負けるつもりはありません! ありがたいことにプロ野球の解説として現場に呼んでいただけることもあるんです。気になる選手ですよね。1人となると……やっぱりズレータ選手ですかね。

原:おらん! もう日本にもいないんじゃない?

あらた:あぁ、そうなの? じゃあ、4番に座るイ・デホ選手が……。

原:おらん! ズレータ選手より最近にはなったけど!

あらた:1人は難しいんで、2人言わせてください! 栗原陵矢選手と牧原大成選手です。理由は、2人とも怪我などもあって、まだ年間フルイニング出場したことがないんですよ。なので、フルで出続けたらどんな結果を残すのかっていうところがすごく楽しみです。あと周東選手でしょ、仲田選手に川村選手、それと……。

原:2人だけって話、どこにいった!!

――(笑)。最後に照れくさいかもしれませんが、お互いの良いところを教えてもらえますか?

あらた:毎日言い合っているので、照れくさくないですよ。

原:やってないでしょ!

あらた:お先にどうぞ。

原:うーん……THE・ボケ。とにかく明るいし、瞬発力もあるし、周りがよく見えているなっていうのを感じます。あらたが平場でも先に前に出てくれるからこそ、その勢いにのってツッコみができるみたいなところもあるので。

――あらたさん、いかがでしょうか?

あらた:顔ですね。原の顔ファンなんです。あとセンター分けの髪型。似合ってる。以上です。

原:以上? バカなの? 解散するの?

あらた:接しやすさですかね。いい意味で先輩からも後輩からもナメられているので。ただ、一緒に仕事をするってなったときに、そっちのほうが入りやすいんだろうなって。

原:なんだ、ちゃんとあるんじゃん。よかった~、インタビューの最後が俺の顔で終わらなくて(笑)。

▲あらたの顔ファン発言にツッコむ原ノコシ


▲とらんじっと単独ライブ「TRANSIT×TRANSIT BLANC」

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