WHOと専門家、コロナ禍受け「空気感染」の定義で合意

Jennifer Rigby

[ロンドン 18日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は18日公表した技術協議文書で、約500人の専門家と空気感染による病気のまん延の定義について初めて合意したと明らかにした。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期に起きたような混乱を今後、回避することが狙い。

WHOは、麻疹(はしか)のような既存疾患と将来のパンデミックの脅威の両方について、空気感染を防ぐより良い方法を研究する第一歩になると述べた。

文書は「空気感染」という表現について、病原体が空気中を移動したり、空気中に浮遊したりすることが主な感染経路となる感染症に用いることができると結論づけた。

これまでは空気感染と判断する前に高いレベルの証拠が求められたが、新たな定義では曝露の危険性と疾患の重症度も考慮する必要があるとした。また過去には感染症粒子の大きさが「飛沫」か「エアロゾル(空気中を漂う微粒子)」かが争点だったが、新しい定義ではそれを問題視していない。

2020年のパンデミック初期、エアロゾル研究者約200人が、WHOがウイルスの空気感染の危険性を警告しなかったと公に不満を表明。研究者らは、WHOが警告しなかったのとで換気よりも手洗いなどの対策が強調され過ぎる結果を招いたと指摘した。

2020年7月までにWHOは空気感染拡大の「証拠が出てきた」と発表したが、主任科学者は後に、WHOは「もっと早い段階で」 はっきりさせるべきだったと語った。

今回、あらゆる分野の専門家が空気感染の定義について合意したことで、病院や学校といったさまざまな環境での換気などの問題について議論を始めることができると考えられている。

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