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ヤフーオークションにとんでもない出品が……。ホンダが1992年に国内300台限定で発売したRC40ことNRの“新車”が出現したのだ。厳重室内保管された未登録・未使用の個体で、税込み3630万円スタートとな……。
●文:ヤングマシン編集部 ●引用元:Yahoo!オークション
気筒あたり8バルブ、2本のコンロッドを備え、シート下2本出しマフラーはタンブリーニも参考にしたという……
ホンダのドリームバイクといって思い浮かべるのはどの機種だろうか。2015年のRC213V-Sもその候補だろうが、レギュレーションに阻まれてレースで使用できなくなったとか、ピストンリングの再現が非常に困難といった逸話が残る「NR」を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。
真円ピストンに比べてショートストローク化と摺動抵抗の低減による高回転化、多バルブ化により吸排気効率の飛躍的な向上を可能とした“楕円ピストン”を採用したV型4気筒エンジン……それがNR最大の特徴だ。
V8エンジン相当、あるいはそれ以上の高回転化と充填効率を誇る楕円ピストンは、気筒あたり8バルブという多バルブ化を実現するために採用された。その形状ゆえにピストン1個あたり2本のチタンコンロッドで支持し、クランクだけを見ればまさしくV8のような構成(点火順序云々はともかく)だった。
そんなV4エンジンをアルミ製ツインチューブフレームに搭載し、カウルはハンドメイドのカーボン製。スクリーンにはチタン/シリコン ハードコートが施され、独特な輝きを放つ。ニカジルメッキシリンダーや16ビット制御のFIなども当時としては画期的な装備だった。
倒立フロントフォークや片持ちスイングアーム、センターアップの2本出しマフラーといったディテールは世界中に大きな衝撃をもたらし、ドゥカティ916をデザインしたマッシモ・タンブリーニにも影響を与えたと言われるほど。
そんなNRの新車が、ヤフーオークションに出品された。
発売当時520万円(税抜き・当時は3%)だった価格も、ここまでの保管費用やプレミア分を考えれば妥当な3630万円に設定され、即決価格は3884万1000円。まさしく奇跡の1台だが、入札する猛者は現われるのか?! 当該オークションの締め切りは4月19日、22時37分だ。
1992 ホンダNR
内燃機関の歴史で唯一となる楕円ピストンを採用したNRのエンジンは、実質的にはV型8気筒に相当。その原点は、’79~’82年の世界GPを戦った500ccレーサーと、’80年代後半のルマン24時間耐久やオーストラリア・スワンシリーズに参戦した750ccレーサーだったが、ストリート仕様は『ダイナミック&エレガンスというコンセプト』を掲げ、高級車としての質感を重視していた。
― ’79 ホンダNR500
“打倒2スト”という目標を掲げて華々しいデビューを飾ったものの、革新的な機構を盛り込みすぎたため、世界GPでは苦戦が続いたNR500。’82年以降は2ストV型3気筒のNS500に、主役の座を明け渡すこととなった。
― ’87 ホンダNR750
戦いの舞台を耐久/4ストプロトタイプクラスに移した750cc仕様のNRは、’87年のルマン24時間で予選2位を獲得(決勝は3時間でリタイヤ)。同年秋のオーストラリア・スワンシリーズでは、第2戦で優勝を飾っている。
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