「子供たちは風呂敷を見たことない」記憶の中でも受け継がれる【老舗物語】

いわき駅から徒歩5分という立地にある老舗が「呉服処根本」。

大正10年創業。三代続くお店で103年目を迎えます。

店内にはちりめんで作られた可愛らしいポーチや小物入れが並んでいます。
一つ一つが可愛らしいですね。

そんなお店を見渡してみると・・・肝心の呉服が見当たりません・・・

\---根本さん「祖父・父の代までは呉服・着物の商いがほとんどだったんですけど、私が継いでから受け継いでいかなくちゃいけないものを、ご紹介していこうかなと。」

現在では日常的にはあまり着ることが少なくなってきた着物。

その着物を中心に、お店を存続させていくのは難しいと考えていた根本さんは、三代目を継いだ時に昔の記憶がよみがえりました。

\---根本さん「昔、父とか祖父が使っていた風呂敷を見て、その姿を思い出して、他に使い方ないかなって調べてみたら便利だなと思ったり、それだけではなくて使い方も教えないと、興味を持ってくれないので講座を始めた。」

三代目を継ぐ際に風呂敷の魅力に取りつかれ、どんどんのめり込んでいった根本さん。

そして現在は小学校などに赴き、風呂敷の魅力を後世に伝えていくため講座などを定期的に行っています。

せっかくなので風呂敷作法講座を少し見せてもらいましょう。

\---根本さん「一升瓶。講座をやってると、男性の方から必ずリクエストが出ます。どんなふうに包むの?ということです(笑)」

まず 風呂敷の両端を一升瓶の上で縛ります。

そして 残った両端を交差させ縛ります。

これで完成と思いきや、最初に縛った部分をほどいていき、輪っかをつくっていきます。

\---根本さん「こうすれば、持ち手ができて持っていただくことができます。」

単純に包むだけでなく、デザイン性や機能性も重視した包み方があるんですね。贈られた人も思わず笑顔になってしまうような包み方です。

そして講座だけではなく、お店での販売もしています。

風呂敷といえば伝統的な柄が特徴的ですよね。落ち着いた色の風呂敷だけでなく、鮮やかな青色や赤色といったカラーバリエーションも豊富。

そして近年、色だけでなくデザインも様々なバリエーションが増えています。それがこちら。可愛らしいバレンタインの絵柄の風呂敷です。

他にもひな祭りやこどもの日といった、季節を感じられる絵柄の物も増えてきているんです。

\---根本さん「昔は包んだりするものが風呂敷だった思うんですけど、最近は飾るという用途も出てきた。」

昔からの伝統的な風呂敷も伝えながら、現代風の絵柄の風呂敷も新たな視点から魅力を伝えていく。それが長年愛されるお店の秘訣なのかもしれませんね。

\---根本さん「子供さんって言われる世代は、風呂敷を使ったことない、見たことない、知らないっていう人たちが多いと思うんですよね。とにかく、そうゆう人たちに、一回は体験してもらうように風呂敷講座をやっていきたいと思ってますので、10年先、20年先に記憶と合致して、風呂敷使ってみようかなという風になってもいいかなと思う。」

若い頃の根本さんのように、現在の子供たちが将来風呂敷の魅力にのめり込み、また、後世に繋がればうれしいと語る根本さん。

老舗というものは、お店や物という形あるものだけでなく、記憶の中でも受け継がれていくのです。

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『ステップ』
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(2024年4月18日放送回より)

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