『ユーリ!!! on ICE』劇場版、製作中止―公式は「諸般の事情」と説明も“複雑な内情”察する声相次ぐ「仕方ない」

4月19日に更新された『ユーリ!!! on ICE 劇場版 : ICE ADOLESCENCE』公式サイトより

『ユーリ!!! on ICE』製作委員会とMAPPAは19日、2019年より公開延期となっていた『ユーリ!!! on ICE 劇場版 : ICE ADOLESCENCE』について、製作を中止する運びになったことを発表した。

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『ユーリ!!! on ICE 劇場版 : ICE ADOLESCENCE』は2016年にTVアニメが放送されたスケートを題材とする『ユーリ!!! on ICE』の最新作として2017年に制作が発表。2019年の公開を見込んでいたが「大幅な作品内容のスケールアップを図るため」として、当初の予定からを延期に。以降、続報が発表されぬ状況に心配する声が集まっていた中、この度製作中止が明かされた。

両社は同日に公式サイトを通じて声明を発表。「お待たせしてしまっていた何年もの間、変わらぬ声援を送ってくださった皆様のご期待に応えることができず、誠に申し訳ございません。」と謝罪したのち、「本作品を製作委員会・スタッフ一同でつくりあげ、皆様のもとに届けるべく、度重なる協議や調整を続けてまいりましたが、諸般の事情により製作を断念せざるを得ないという判断に至りました。」として、理解を求めた。

本件を巡り、作品のファンからは先の発表にあった「諸般の事情」との説明について、事情を察するような意見が多数寄せられており、なかでも「ロシアを巡る情勢」との関連があるのでは、といった推察も見受けられている。

「ロシア情勢」「MAPPA内情」多数の“察する”意見

スケートを題材としたアニメ作品である以上、ロシアとの関連も深いストーリーであることは想像に易く、実際、作中には主人公・勇利の憧れていた「ヴィクトル・ニキフォロフ」を始めとしたロシア人選手が多数登場する。加えて、約3年前に公開されていた本作の「特報映像」では、ロシアの風景とされるような描写も一部描かれており、作品自体への直接的な関与がないとしても、昨今の先の見通せない状況の中で、展開に曇りがあったことが想定される。

また、理由の推察としてはこのほか、制作元であるMAPPAの内情を不安視する意見も寄せられている。高品質なアニメーションを手掛ける国内有数の制作会社として、同社は直近だけでも『進撃の巨人 The Final Season』や『呪術廻戦』等の多数の著名作を担当。本年以降もオリジナルアニメ『全修。』を“単独出資”で制作を予定しており、精力的な活動がみられる一方、元社内関係者らによる内情を明かしたSNSの投稿が話題になるなど、多面的に注目を集めていた。

〈MAPPAはもうキャパオーバーじゃないか〉と外部から云われるほどの厳しい内情に拍車をかける形で、先のロシア情勢も加わったことで、中止を判断せざる状況になったのではないかとされている。また、複雑な事情の中でも「製作中止」を公に発表した製作側の姿勢については〈悲しいけど仕方がない…〉〈ちゃんと教えてくれてありがたい〉といった、誠実さを評価する声も多数見られた。

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