南海トラフ巨大地震が起きたら?福岡は5強想定、津波高4m…「長周期・地震動」発生で高層ビル増加の福岡にも影響

4月17日午後11時14分頃、愛媛・愛南町と高知・宿毛市で震度6弱を観測した大きな地震。「南海トラフ地震」との直接の関係はないとみられているが、もし想定される地震が起きたら福岡はどうなるのか?

南海トラフ「想定震源域」で発生

「緊急地震速報!山口!大分!」。福岡でもけたたましく鳴った緊急地震速報。久留米市や柳川市などで震度3を観測した。

「スマホが鳴ったから飛び起きた」「会社の本社が愛媛なんですけど、それで『南海トラフ』とか大丈夫かなと思った」。一夜明けた福岡の街の声も、それぞれが恐怖を口にしていた。

南海トラフ地震は、今後30年以内に70~80%の確率で発生が予想されている巨大地震で、今回の地震はこの「想定震源域」で起きた。ただ、気象庁は今回の地震は南海トラフ地震とはメカニズムが異なることから、巨大地震の可能性が急激に高まったわけではないとみている。

被害想定 震度、津波高さ、死者数は?

もし南海トラフで巨大地震が起きたら、最大でどれほどの震度が想定されるのか。

政府の被害想定によれば、まず愛媛・高知・徳島・和歌山で震度7。さらに東は三重・愛知・静岡でも震度7が予測されている。一方、九州への影響もかなり大きく、宮崎でも震度7。そして、福岡県では久留米市で震度5強、福岡市で震度5弱が予測されている。

また、福岡県内は瀬戸内海沿岸で、北九州市などに最大4メートルの津波が押し寄せるおそれがある。最悪の場合、予想される死者の数は全国で32万人にのぼる。

さらに、震度4以上の揺れが2分~3分続くと想定されていて、この揺れには「長周期・地震動」も含まれるという。長周期・地震動に襲われると室内の棚などが倒れて、非常に危険な状態となる。

「名古屋大学」福和伸夫・名誉教授:
「長周期・地震動」が起きると高層階のオフィスや住宅の家具が大きく移動する。それからエレベーターが停止して使えなくなる

2011年に起きた東日本大震災でも長周期・地震動が発生。震源地から直線距離で500km以上離れた大阪でも、エレベーターに閉じ込められたり、天井のパネルが落ちたりする被害が出た。

専門家「想像を超えるものになる」

福岡ではここ数年、100メートルを超えるような高層ビルや、タワーマンションの建設が相次いでいる。南海トラフ巨大地震が起きると、この長周期・地震動による被害は「想像を超えるものになる」と専門家は話す。

「名古屋大学」福和伸夫・名誉教授:
東日本大震災が起きた場所から東京までの距離と、南海トラフ地震が起きたときの福岡までの距離を比べてみると、そんなに大きくは違わないと想像される。福岡は震源域から多少離れていますが、高いビルは相当に厳しい状況になるだろうと想像されます

南海トラフは福岡から離れているが、福岡でも大きな被害が出るおそれがある。しっかり備えをする必要があるのだ。

(テレビ西日本)

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