北陸新幹線開業で観光に目覚める⁉ 観光業盛んな石川の隣県・福井の”矢継ぎ早”な戦略

北陸新幹線が3月に福井県敦賀市まで延伸され、福井県が力を入れているのが観光です。ただ、県内に観光地が点在するなど、県全体ではビハインドも多い実情がこれまでありました。千載一遇のチャンスの到来、観光に目覚めた福井県の戦略です。

福井県・杉本達治知事(3月16日)「福井には本物がいっぱいある。また福井に行きたいと思っていただけると信じている」

整備計画決定から半世紀以上経過した3月16日、福井県に新幹線が乗り入れました。「100年に1度のチャンス」と形容し、大きな追い風だととらえている福井県ですが、県民も新幹線効果を実感しているようです。

福井県民「(新幹線がきてから)土日の駅はすごく賑やかになった。観光客が増えたと思う。地元の人も結構(街に)来てると思う」

福井駅には新たに観光案内所もオープンしました。

ふくい観光案内所・吉川杏所長「断トツで関東からのお客様、東京、千葉、埼玉、茨城から来たという関東の広域から来ていただいて。初めて福井に来られたという方は皆さん永平寺、恐竜博物館、東尋坊に行ってみたいということで相談いただいている」

福井県によりますと開業から3月末までの16日間の観光客の数は前年同期比で30.5%増の38万2000人で、特に関東圏からは67.8%増と大幅に伸びています。

主な観光地に訪れた人の数でみると、大本山永平寺(永平寺町)がおよそ1割、恐竜博物館(勝山市)がおよそ4割、一乗谷朝倉氏遺跡博物館(福井市)がおよそ3割増えました。

観光客増に沸く福井県ですが、多くの観光地が広範囲にわたって点在しているのがこれまでネックとして指摘されてきました。

この弱点を補い、観光を盛んにさせていこうと打った新たな一手が2次交通の充実です。そのひとつが「はぴバス」です。

新幹線延伸に合わせ福井県内の5つのバス会社と県バス協会が、共同で観光地をめぐるバスの運行を始めました。共同事業体を設立しての取り組みは全国初です。

はぴバスコンソーシアム事務局・吉住愛さん「福井県には(観光地への)直行バスはあるが効率よく(観光地を)周遊するバスが今までなかったので。新幹線開業に向けて定期観光バスを企画したはぴバスには、ガイドさんがついています」

はぴバスバスガイド・上田歩実さん「福井県はカニが有名です。越前がにを食べたことはありますか?越前がには福井で有名です」

「はぴバス」は新幹線の停車駅4駅を発着点に、地域の観光地をめぐります。

恐竜博物館、越前大仏を回るコースや、大本山永平寺、一乗谷朝倉氏遺跡を回るコースなど11のコースが用意され、歴史や自然体験などを楽しめます。

また今年6月から新たに導入されるのが、新感覚XRバス「WOW RIDE」車窓に映像が映し出され、移動時間も飽きさせない工夫がされています。

観光客「福井は自然がいっぱいでいいと思う。また来たいと思う」

また来てもらいたい。福井県は矢継ぎ早にアピールを展開します。まちの玄関口を眺めるとその力の入れようがわかります。

福井駅を出るといたるところで見かけるのが恐竜。福井県が誘客で取り組んでいるのが「まち歩き」です。

そして、福井城の復元もその一つです。徳川家康の次男・初代福井藩主・結城秀康が1606年に築城した福井城。その敷地には県庁がありますが、福井駅からも近くまち歩きのスポットとしては抜群の立地です。福井城を満喫してもらいたいと始まったのが、VRです。

スマートフォンを使って、かつての福井城の全景をながめ楽しむことができます。
また、福井県では城の南西の角に明治初期まであった高さおよそ16メートルの坤櫓(ひつじさるやぐら)の復元工事を、早ければ2025年度には着手する方針です。

また、中心市街地の観光誘客や県内での宿泊を促進するために力を入れているのがライトアップです。市民や観光客に風情を楽しみながら周遊してもらうための拠点作りも進められています。

まちづくり福井・岩崎正夫会長「これだけ街に近いところに自然が残っているという部分を使いながら、足羽山とか隣の浜町といった旧料亭街といったところに足を運んでいただく仕掛けを作って行きたいと思っています」

店員「海の幸を丸ごと使ったお煎餅、いかがでしょうか」

北陸新幹線延伸に合わせて、福井駅に3月誕生した「くるふ福井駅」は、観光客だけでなく地元の人たちも呼び込み市中心部に新たな賑わいを創出しています。

人が増えることで新店舗もオープンし、「まち歩き」の楽しさも増す。

新幹線開業で迎えた「100年に1度のチャンス」をどのように最大化させていくのか。「北陸の観光といえば福井も!」福井県の鼻息は荒いようです。

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