「国スポ」廃止論も 持ち回り開催に重い財政負担 阿部知事は【長野】

阿部知事(右)

4年後の2028年、県内各地が会場となる国民スポーツ大会が実施されます。会場は県内29市町村、合わせて40競技が開催される大規模なイベントが通称「国スポ」。と言われてもピンとこない人には国体でしたらどうでしょう。今年冬の大会から、
国体という呼び名から「国スポ」に名称が変わったばかりです。都道府県持ち回りで開催されるこの「国スポ」。いま改革の動きがあります。「廃止も一つの考え方」という意見も出ています。

宮城県の村井嘉浩知事。全国知事会の会長も務めています。8日の会見です。

■宮城県・村井嘉浩知事
「人口が減っていく中で、今と同じように47都道府県の対抗戦といったような国体で良いのかどうか」
「あくまでも私個人的な考え方として廃止も一つの考え方」

国スポ(旧国体)は1946年から都道府県の持ち回りで開催されてきました。現在、2巡目に入っていて、4年後の長野県開催は1978(昭和53)年の「やまびこ国体」以来、50年ぶり2度目の開催です。かねてから、開催自治体の負担が大きいことが課題としてありました。

■宮城県・村井嘉浩知事
「非常に財政的な負担は大きいですよね。国体は全選手団の費用は都道府県持ち。毎年旅費だけでも相当かかっている」

一方で村井知事は国スポが競技の普及や強化に貢献してきたことや、同じ開催地で合わせて開かれる全国障害者スポーツ大会の意義は認めた上で、「やり方はいくらでもある」と今後の議論が深まることに期待しています。

■宮城県・村井嘉浩知事
「聖域とかタブーとか抜きにして、全く白紙の状態で議論した方がいい」

長野県で開催される2028年の第82回大会は全国持ち回りの2巡目です。議論になっているのは「その後の3巡目も同じようにやるのか?」。県内の次回開催そのものが俎上に上っているわけではありませんが、阿部知事にどう考えているか聞いてみたところ、「ゼロベースであり方を考えることが必要だ」と話しました。

■阿部知事
「これからも同じような形で続けるべきか考えるとゼロベースで、少なくとも3巡目に入っていく局面なのでゼロベースで根本からあり方を考えることが必要ではないかと思っています」
「そもそも社会経済環境が変わる中で国民スポーツ大会の意義は何なのか。目的や意義が何なのかも含めて考えていくことが必要」

大きな論点の一つが、開催する都道府県にのしかかる財政的な負担です。4年後の県内での開催では大会を運営するだけで数十億円から100億円程度かかる見通しだとしています。

■阿部知事
「財政的な負担はかなり重い。大会のあり方や規模をどうするかという議論につながり得る。その一方でほとんどの開催経費を地元の都道府県が負担している。このあり方も国民スポーツ大会のあり方としてどうなのかということも大きな論点だと思っている」

阿部知事は1つの都道府県ではなく、広域単位で開催する方法も考えられると話していました。

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