【大阪編】注目!“きになる!地元で光る人”

街には、人と人をつなぎ、地元の活性化に貢献するイベントや取り組みを行うキーパーソンがいます。そんな“きになる!地元で光る人”に注目。大阪公立大学准教授で行動する社会科学者の菅野拓先生に、どういった人が街のキーパーソンになりうるのかを聞きました。

【豊中市】とよなかStyle代表出典:リビング大阪Web▲ロート製薬食品事業推進部部長。ロート製薬の社内ベンチャー制度で豊中の幸福度を上げることを目標とした新規事業を発足地元をテーマに語りつながり合う機会を福岡や東京への転勤を経て30代で豊中に戻ってきた際、地元でのコミュニティーを広げたい気持ちが強まり“パパズクラブ”を発足。地域イベントに出店するなど充実した日々を送り「サードプレイスができたことに喜びを感じていました」と中川喜隆さん。その経験から“定年後に地域貢献をしよう”と考えていた矢先、社内ベンチャー制度のコンペが。「チャンスだと思いました。国産ビール初の販売者が豊中出身だったことから豊中初のクラフトビールを作ってみたくて」。その提案が通り図らずも定年を待たずに事業が実現。さらにビール作りをきっかけに地元での賛同者も増え、つながりも深まりました。「今後はビールを飲みながら豊中愛を語り合う機会も作りたい」。二足のわらじを履きながら豊中の魅力を高める活動に邁進します。出典:リビング大阪Web▲ビール作りをきっかけにつながった、とよなかStyleの仲間ときになったら…とよなかStyleのホームページはこちら-----------------------------------------【吹田市】フラワースタジオMORIYA代表出典:リビング大阪Web▲SNSの総フォロワー数100万人を超えるフラワークリエイター。行政機関の審議委員なども務める郷愁感に訴えるイベントを増やしたい昨年、万博記念公園(千里万博公園)で開催された「吹田フェスタ2023」や「SNS EXPO 2023」の実行委員長を務め“フラワークリエイター”の域を超えた多彩な活動で地域を盛り上げる森俊弥さん。さまざまなイベントを取りまとめる、その原動力となっているのは生まれ育った江坂での実体験。「子どもの頃に参加した、地元の神社のお祭りの高揚感を今も思い出します。そんな郷愁感に訴えかけるようなイベントを実施したいと地域での小さなイベントからチャレンジしました」と振り返ります。リアルイベントを開催する一方で、SNSの世界でのつながりも大切にしているとも。「みんながワクワクできる時間をこれからも企画して吹田に関わっている人たちが自分の環境の魅力を気軽に発信できる仕掛けをもっと増やしていきたいです」出典:リビング大阪Web▲昨年の「SNS EXPO 2023」の様子。今年は東京で開催予定きになったら…森さんのインスタグラムはこちら-----------------------------------------【箕面市】みのマママルシェ担当出典:リビング大阪Web▲助産師が中心となって活動する「みのおママの学校」地域統括マネージャー。助産師。みのマママルシェ・親子関係ラボ・いのちの授業を担当地域のママが笑顔になる子育て応援マルシェをみのおキューズモール(西宿1-15-30)で定期的に開催されている、親子で過ごせるイベント“みのマママルシェ”。同イベントの統括を行うのが溝上まどかさんです。「専業主婦を10年経験したのですが、子供連れだと買い物も食事もゆっくりできないもどかしさがあって。だったら、温かいご飯を温かいうちに食べられるような場を自分たちで作ってママを笑顔にしよう!と始まったのが、みのマママルシェなんです」と溝上さん。出店の条件は“ママを応援したい人”。お店の人もスタッフも、お客さんであるママと積極的にコミュニケーションを取ってママ1人でも寂しい思いをさせず、“また来たい”と楽しんでもらえる空気感作りを心がけています。「子育て応援に力を入れているみのおキューズモールさんと一緒に、私たちも微力ながら箕面のママが楽しいと思ってもらえるような活動を続けていきたいです」出典:リビング大阪Web▲次回の開催は5月10日(金)です(過去のみのマママルシェの様子)きになったら…みのマママルシェのホームページはこちら-----------------------------------------【高槻市】米粉伝道師TAKAYA出典:リビング大阪Web▲高槻市出身。祖父から農家を、父からベーカリーを受け継ぎ、地元産の米粉を使った数々の商品を開発ブランド米粉で清水地域の田園風景を守りたい高槻市内の清水地域で、地元のブランド米粉“清水っ粉”を製造し、さらにその米粉で作ったパンを販売している高谷直樹さん。「国の史跡にも指定された芥川城から見下ろしたときに見える、辺り一面の黄金色の景色を次世代に継承していきたい。そのためには何より田畑を衰退させないことが大事です。しかし米を作るだけでは収穫量が足りず、先細りになることが目に見えていたため、収穫した米を米粉に加工して量を確保し、パンも作ることにしました」この試みが成功し、今では清水っ粉を使ったパンケーキミックスや米粉を用いたたこやき粉、米粉100%麺など商品も拡大、高槻市の観光協会でも販売されるほどに。近隣には、「清水っ粉」を用いたスイーツをいただけるカフェも登場しています。「知恵をしぼって、高槻の自然環境を守る、持続可能な取り組みを考えていきたい」出典:リビング大阪Web▲農家で米粉作りに用いる稲の収穫を行う高谷さんきになったら…清水っ粉のホームページはこちら-----------------------------------------【高槻市】アフタースクールにじのいえ代表出典:リビング大阪Web▲働くお母さんの気持ちを大事にした「アフタースクールにじのいえ」。保護者からの信頼を糧に2校目を開校働く親に寄り添ったアフタースクールを「働く女性の力になりたい」と8年前、芥川町に高槻市初の民間学童保育施設「アフタースクールにじのいえ」を開設した宮尾智美さん。自身も2人の娘を育ててきた経験から、「母親としての感覚を大切に運営していきたい」と考えています。例えば、愛情を感じられるようにと手作りおやつを提供したり、一緒に料理を楽しむ調理体験を用意したり、さらには「幼いころから本物に触れさせたい」と茶道や書道、そろばんの講師を招いて本格的なおけいこごとも実施。これら独自のカリキュラムもあり、わが子を預かってほしいと願う保護者が後を絶ちません。そこで昨年4月、真上町にも同様の施設を開設。「子育てや教育に熱心な高槻市でより多くの家族に笑顔になってほしい」と願う宮尾さんの取り組みは続いていきます。出典:リビング大阪Web▲手先を使うそろばんは人気のおけいこごときになったら…アフタースクールにじのいえのホームページはこちら-----------------------------------------【茨木市】One Art Project出典:リビング大阪Web▲アートプロジェクトユニット「One Art Project」を通じて多彩な芸術文化的活動の提供を行うアーティストアートで人と人とのつながりを作りたい福井高校(茨木市)で同級生だった藤本聖美さんと共に、アートプロジェクトユニット「One Art Project」を立ち上げた稲垣元則さん。「もっとアートを身近なものとして見て・感じてほしい」と、2018年のJR総持寺駅開業時から、駅構内の自由通路の壁面に巨大な作品を展示するプロジェクト「SOU」を手がけ、さらに茨木市民会館の跡地に言葉を用いたアート「カコイバ」を設置するなど、人と人をアートでつなぐ活動を行っています。「リアルな作品を見て“自分はどう感じるのか”という個人の感覚を大切にしてほしい」と語る稲垣さん。「茨木は都会的な街並みもあり、歴史的な建造物や自然も豊か。文化事業が活発な街でもあるので、常時アートに触れられるギャラリーやアートセンターができればうれしいですね」出典:リビング大阪Web▲SOUは、半年に1度作品の入れ替えが行われますきになったら…One Art Project のホームページはこちら-----------------------------------------【枚方市東部】奥ひらプロジェクトリーダー出典:リビング大阪Web▲“奥ひら”活性化のために、自身が経営する尊延寺の和幸カントリーを活用して大阪初のフットゴルフなどのイベントも開催“奥ひら”の魅力を農業支援に枚方市の中心地から車で30分ほどの東部地域。「子どものころからこの地の田園や畑が作り出す美しい里山の風景が大好きでした」と話すのは、市内でカントリーを経営する大橋綾子さん。農家の高齢化とともに、跡を継ぐ人が育たない現状に「農家さんがきちっと野菜を作って生活ができるサイクルを作りたい」という思いを強くした大橋さん。同じ志を抱く地域の仲間とともに、昨年東部地域の真の活性化を目指す“奥ひらプロジェクト”を立ち上げました。「穂谷でのホップ栽培とクラフトビール作りを行っているカンパイカンパニーの光延さん、ひらかた独歩ふぁーむの大島さんと一緒に、昨年はほぼ毎月何らかのイベントを開催しました。たくさんの方にこの地域の良さを知ってもらえれば、移住先や観光資源となりますよね。人と資金の循環を生み出して、農家さんを支えたい」出典:リビング大阪Web▲穂谷のホップを収穫し、枚方発のクラフトビールを製造きになったら…奥ひらのインスタグラムはこちら-----------------------------------------【枚方市岡東町】星のかなで主催者出典:リビング大阪Web▲昨年夏、香里ケ丘から茄子作北町へ移転した地元で人気のおしゃれカフェ「cafe FLAG」のオーナー。2018年から「星のかなで」を主催クラフトとアートの祭典「星のかなで」を主催今年も5月12日(日)にニッペパーク岡東中央で音楽とクラフト・フードフェス「星のかなで」が開催されます。5回目を迎える大人気のイベントを主催するのが市内でカフェを経営する辻内志乃さん。「自分自身アートやクラフトが大好きで、たくさんの作家さんとつながっていました。作家さんの中には素晴らしい作品をいくつも生み出しているのにうまくPRできない人もいて、もったいない!って思ったんです」持ち前のバイタリティーと行動力を発揮して取り組んだ「星のかなで」。大好きな枚方で始めたこのイベントは、名前を変えて昨年からは京都でも開催するなど広がりを見せています。「何より大変なのは続けていくこと。始めるよりずっと力がいります」と話す辻内さん。柔らかな笑顔に隠された秘めたる情熱で、人と人とをつないでいきます。出典:リビング大阪Web▲5月12日(日)午前10時~午後5時開催。写真は昨年の様子きになったら…星のかなでのインスタグラムはこちら-----------------------------------------【枚方市楠葉】とかとかオーナー出典:リビング大阪Web▲編集ライターで童話作家の妻、彩さんとともに始めた「とかとか」。遊び“とか”、学び“とか”がいっぱいある空間です広げたい、本がつなぐ居場所づくり樟葉宮表参道商店街の一角にあるまちライブラリー「とかとか」には、本との出合いを求めて、子ども連れのお母さんや小中学生らが集まります。オーナーの浪本浩一さんは、2年前に自身のデザイン事務所をこの地に移し、事務所内でまちライブラリーを始めました。「自宅でも、学校でも、職場でもない、お金がかからない居場所って今はなかなかないでしょう? みんなが集う縁側みたいな、そんな場所を作りたかった」。お店のかたわらに少しだけ本を並べ、誰もが気軽に訪ねていける。そんな点がたくさんある街を作りたいと、浪本さんは考えています。「本さえあれば、誰かが来ても無理に話す必要もないし、相手をする必要がない。本ってすごいコミュニケーションツールです。そんな場所がいっぱいできたらそれは街の個性になる。そんな街に住みたいって思いませんか?」出典:リビング大阪Web▲楠葉西中学校の生徒がとかとかの紹介動画を制作。披露しましたきになったら…とかとかのホームページはこちら--------------------------------------------------幸せな街には価値観の違う人と人とを結ぶ出典:リビング大阪Web▲大阪公立大学 大学院 文学研究科人間行動学専攻 地理学専修准教授 菅野拓さん臨床の社会科学者。専門は人文地理学、都市地理学、サードセクター論、防災・復興政策。東日本大震災、能登半島地震などの復興支援も行っている---------------------私たちが「この街に住み続けたい」「住んで良かった」と思うために必要なこととは?人文地理学を研究している大阪公立大学大学院文学研究科准教授の菅野拓さんは、東日本大震災で復興支援を行う中、“信頼している・お世話になっている人の名前を挙げてもらう”インタビュー調査を実施。挙がった名前の多くは、行政や企業の人ではなく、民間の市民活動やNPOといったいわゆる“サードセクター”に属する人でした。「中でも何度も同じ名前が挙がった方がキーパーソンであり、その方がハブとなって複雑なネットワークを構築し、復興に結びつく活動が活発化していることがわかりました」こうしたキーパーソンの特徴を菅野さんは、「文化の翻訳能力が高い」と表現します。「異なる価値観を持つ人同士のコミュニケーションでは、一見共通語と思われる言葉でも、実は受け取り方が違うということがあります。文化の翻訳能力が高い人は、Aさんの話をBさんがわかる文化の中で翻訳して伝えることができるので、話がスムーズに進んだり、発展したリしやすい。だから人と人をつないでいくことができるんです。このようなキーパーソンが多くいる街、彼らが活動しやすい環境やサポートを行政が行っている街は、幸せな街といっていいのではないでしょうか」--------------------------------------------------地元で何かを始めたい人、注目! 自治体のサポート情報はこちら【兵庫編】注目!“きになる!地元で光る人”はこちら

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