レクサス 新型GXの価格は1235万円! 日本発売は今秋|内装やサイズなど詳しく解説

2024年4月19日(金)、レクサスは新型SUV「GX(GX550)」を2024年秋頃に通常販売することを発表しました。これに先立ち、「GX550“OVERTRAIL+(オーバートレイル プラス)”」の抽選販売が100台限定で開始されます。当記事では、新型GXのレビューや価格、ボディサイズ、外観、内装、荷室、パワートレイン、悪路走破性などをカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが解説します。

GX550

レクサスの新型SUV「GX」とは?

新型GX

SUVの人気が高い今、SUVの新車販売の割合は小型/普通乗用車の30%以上を占めています。

そのためトヨタの上級ブランドであるレクサスもSUVを豊富に用意していますが、そこに新型GX(GX550)が加わりました。

新型GX フレーム構造

ただし、従来からレクサスにラインナップされているSUVとは性質が異なります。

レクサス RXやNXは、前輪駆動の乗用車系プラットフォームでした。一方でGXはSUVの原点というべき悪路向けの車種で、基本部分はトヨタ 新型ランドクルーザー250と共通です。

新型GXのレビュー! 良い点、気になる点

良い点、気になる点まとめ

新型GXのボディサイズ

レクサス 新型GX サイドビュー

新型GXのボディサイズは、全長は4,970mm、全幅は2,000mm、全高は1,925mmで、ホイールベースも2,850mmに達します。新型ランドクルーザー250と同じく大きめです。

レクサス LX

この数値は、レクサスの最上級SUVであるLXの全長5,100mm×全幅1,990mm×全高1,885mmと同等です。

特に全幅は新型GXがLXよりもわずか10mmですがワイドとなります。ホイールベースは2,850mmで同じです。

つまり新たに投入される新型GXは、LXとこれのベースになったランドクルーザー300に近い大きさです。

以下は新型GX、LX、ランドクルーザー300のボディサイズ比較表です。

寸法はすべてmm

新型GXの外観

新型GXの外観(フロントビュー)
新型GXの外観(リアビュー)

外観は新型GXの個性を表現しています。

LXのフロントマスクは、レクサス車に共通するスピンドル(糸巻状の)グリルを強調して存在感を強めていますが、GXはブラックで荒々しく鋭い、悪路向けSUVとしての印象です。

新型GXの内装、室内の広さ

新型GX フロントシート

インパネなどの内装は、各部に使われる装飾も含めて、レクサスらしく上質です。

新型GX インパネ

インパネやドアには柔らかいパッドが備わります。インパネの中央にはノートパソコンの画面のような大型ディスプレイが装着され、ナビなどの情報が表示されます。このあたりの仕上げはプレミアムブランドのレクサス水準です。

水平基調のデザインは、視認性や操作性が重視されています。デコボコの激しい悪路を走りながら、メーターの確認や正確な運転操作をする必要があるためです。

新型GX マークレビンソンプレミアムサラウンドサラウンドシステム, 新型GX クールボックス
新型GX マークレビンソンプレミアムサラウンドサラウンドシステム, 新型GX クールボックス

快適装備も充実しており、センターコンソールには、ペットボトルなどが収まるクールボックスを装着。シートの調節はすべて電動です。6個のスピーカーを装着し、高音質なハイレゾで再生される上級オーディオも備わります。

悪路を走破する本格的なSUVでありながら、装備もレクサスの水準を保っているでしょう。

新型GX リアシート

居住空間はLサイズのボディのために広々としています。

身長170cmの大人4名が乗車した時、リアシートに座る乗員の膝先空間は、LXなどと同様で握りコブシ2つ分です。

足元空間に大きな余裕があるわけではないですが、4名で乗車しても長距離を快適に移動できます。

新型GXの荷室

新型GX 荷室(リアシートを前方に格納した状態)

荷室は床が高く、重い荷物を積む時は注意が必要です。その代わり荷室の床面積は広く、さらにリアシートを前方へ格納すると、大容量の荷室空間に変更できます。

新型GX ハンズフリーパワーバックドア, 新型GX バックドアガラスハッチ
新型GX ハンズフリーパワーバックドア, 新型GX バックドアガラスハッチ

バックドアの下に足を入れると、電動で開閉する「ハンズフリーパワーバックドア」も採用。リアウインドウだけを開閉できる「バックドアガラスハッチ」も備わり、バックドアを開閉できない狭い場所でも荷物を出し入れできるのは便利です。

新型GXのパワートレイン

新型GX V型6気筒3.5Lツインターボ

新型GXが国内発売時点で搭載するエンジンは、V型6気筒3.5LツインターボのV35A-FTS型。最高出力は353馬力、最大トルクは650N・mです。

LXも同じタイプのエンジンを搭載しますが、最高出力は415馬力で、最大トルクは650N・mです。新型GXはLXに比べて最高出力が控え目ですが、最大トルクの数値は同じです。

ターボを装着しない自然吸気のガソリンエンジンに当てはめると、最大トルクは6Lの排気量に相当するので、実用回転域の駆動力が高いということです。

このエンジンは、高速道路から悪路まで、さまざまな場面で優れた駆動力を発揮するでしょう。

新型GXの悪路走破性能

新型GX

最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は200mmを大幅に上まわり、悪路のデコボコの乗り越えもお手の物。水深が700mmまでなら、川などを走破できる機能も備わります。これらの悪路走破性能は、基本部分を共通化した新型ランドクルーザー250に準じています。

新型GX 対地障害角・最大渡河性能

また悪路走破力を高める機能も豊富で、スタビライザー(ボディの傾き方を制御する足まわりのパーツ)の作動を電子制御で変化させる「E-KDSS」も装着されています。

舗装路ではボディの傾き方を制御して走行安定性を向上させるのがスタビライザーの役割。しかしスタビライザーは、舗装路では優れた効果を発揮するものの、悪路では走破力を妨げる場合もあります。

そこで電子制御のE-KDSSにより、走行状態に応じた作動をさせるわけです。

新型GX E-KDSS(悪路での状態),新型GX E-KDSS(舗装路での状態)
新型GX E-KDSS(悪路での状態),新型GX E-KDSS(舗装路での状態)

悪路ではスタビライザーをキャンセルして、サスペンションの伸縮性を向上させ、デコボコの激しい悪路でもタイヤが路面から離れにくくなり、確実なグリップを得られるでしょう。

新型GXのE-KDSSは機械式と違って電子制御なので、舗装路での直進時にも制御を行います。スタビライザーのニーズが低い場面では、舗装路でもカットして、乗り心地を向上させるのです。

新型GX マルチテレインセレクト

このほか「マルチテレインセレクト」も採用。ダート(未舗装路)、サンド(砂地)、マッド(泥道)などの走行モードが設定され、悪路の状況に応じて選択すると、各種のメカニズムが最適制御されます。

新型GX マルチテレインモニター

路面に近い部分のカメラ映像をモニター画面に表示する「マルチテレインモニター」も備わるため、本来は死角になる前方の下方も視認することが可能です。

特別仕様車の「GX550“OVERTRAIL+”」の価格は1235万円

新型GX

このように新型GXは、優れた悪路走破力と上質感を両立させたSUVです。

通常の販売開始は2024年秋ですが、これに先立って特別仕様車の「GX550“OVERTRAIL+”」の抽選販売が100台限定で開始されます。申し込みはレクサスの販売店で、実施期間は2024年4月19日(金)から5月12日(日)。

特別仕様の「GX550“OVERTRAIL+”」の価格は1235万円。LX(LX600)の標準グレードが1250万円なので、ほぼ同じ価格です。

LX

新型GXとLXは、前述のようにエンジンやシャシーを共通化して、ホイールベースも等しく、ボディサイズも同程度。

両車の違いは、GXは最低地上高にも余裕があって悪路指向が強く、LXは内外装の存在感と豪華さを際立たせて都会的に仕上げたことです。

ランドクルーザー250と300の関係にも当てはまることですが、ユーザーから見ると、似通った商品をそろえた印象を受けるかもしれません。

LXが大柄な悪路向けSUVとして存在する以上、新型GXはNXと同等サイズ(全長4,660mm×全幅1,865 mm)の悪路向けとすれば、差別化がしやすかったのではないでしょうか。

全長を4,700mm、全幅を1,850mmくらいに抑えると、価格も850万円前後に収まり、選択しやすくなるでしょう。

購入しやすい状況になれば新型GXの魅力も際立つはず

「GX550“OVERTRAIL+”」を100台限定で販売する売り方も、ユーザーにとって良心的とはいい難いでしょう。LXも現在は受注を停止させており、販売店では「受注を再開するメドは立っていない」とのこと。

日本のユーザーに対するトヨタの一番のメリットは公平性です。トヨタブランドは、全国に約4600店舗の販売網があり、全国すべてのユーザーが公平に購入可能。だからこそ販売台数も一番多いです。

ところがレクサスは、約200店舗に限られ、都市部を中心に展開されているため、1県に1店舗しかない地域もあります。

しかもレクサスは海外向けのブランドなので、レクサスの販売総数に占める国内登録台数の割合も、2022年が7%、2023年も11%と少ない状況です。トヨタ全体では2023年は16%なので、レクサスは国内販売比率が低めです。そして受注を停止させる車種も散見されます。

レクサスは、もう少し我々日本のユーザーに、優しいブランドであって欲しい。そうなるとGXの魅力も一層際立つでしょう。

[筆者:渡辺陽一郎/写真:レクサス]

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