北朝鮮で公開されたミュージックビデオ。
その内容は、満面の笑みを見せる労働者や、親指を立てるパイロットや海兵。
さらに、アナウンサーたちも見たことがないような表情を見せている。
この映像に込められた金正恩（キム・ジョンウン）総書記の狙いとは。
北朝鮮が17日、新たに公開したプロパガンダの音楽のミュージックビデオ。
曲のタイトルは「親近なる父」。
金正恩総書記の人柄をたたえる、明るくポップなナンバー。
工場労働者や、防護服を身にまとった医療関係者などがノリノリで歌っている。
特に印象的なのが、登場する人物たちがこぞって、この曲は「いいね!」というように、親指を立てサムズアップを繰り返すしぐさ。
一般市民だけでなく、兵士やあの看板アナウンサーまでもが「いいね!」。
さらに、曲のサビの部分では「歌おう金正恩 偉大なる領導者 自慢しよう金正恩 親近なる父」と、金総書記に敬称をつけず呼び捨てにする、これまでにない大胆な歌詞が見られた。
そのうえ、歌詞の「金正恩」の部分をしっかり赤文字にして強調していた。
映像の中の金総書記は子どもたちと盛んに寄り添い、その姿はまるで「市民の父親」のよう。
16日には、平壌（ピョンヤン）に新たに1万戸建てたとする住宅街の竣工式に出席した金総書記。
道路をびっしりと人が埋め尽くす中、金総書記の前で新曲が披露された。
これまでのプロパガンダ音楽といえば、軍事パレードや演習の様子など武力面を強調するものが定番だった。
歌詞の中では、金総書記に同志や将軍といった敬称をつけ、忠誠を誓う内容。
そこでは神格化された指導者像を強調していた。
4月15日は、金総書記の祖父・金日成（キム・イルソン）主席の誕生日に当たる太陽節だった。
そのため各国は、新たな軍事偵察衛星の打ち上げを警戒。
そうした中で見られた金総書記のイメチェンには、どのような思惑があるのだろうか。
