黒部峡谷鉄道のトロッコ電車が運転開始 まずは笹平駅まで 新緑の絶景を求め海外客も

春の大型連休を前に黒部峡谷の観光シーズンがスタートです。黒部峡谷鉄道のトロッコ電車が19日、笹平駅までの一部区間の運転を開始しました。

運転初日を迎えた19日、トロッコ電車の始発、宇奈月駅では出発セレモニーが行われ、黒部峡谷鉄道の鈴木俊茂社長が、ことしは北陸新幹線の敦賀延伸や、黒部宇奈月キャニオンルートの開業もあることをあげ、「宇奈月・黒部、富山県のにぎわい創出や地域の発展にこのトロッコ電車も貢献していきたい」と挨拶しました。

地元黒部市の武隈市長や宇奈月温泉の女将たちが見守る中、今シーズンの一番列車が出発です。

橋本星奈アナ: 「ガタンゴトンという列車の音、澄んだ空気、心地よい風に癒されます。きょうは曇っていますが、この景色、雪が残っていたり桜が咲いていたりと、今しか味わえない景色が広がっています」

19日に開通したのは全区間の3分の1にあたる宇奈月駅から笹平駅までのおよそ7キロ。
片道27分、休憩をはさんで往復およそ80分間のトロッコ旅です。

黒部川沿い、日本一深いV字峡谷を縫うように走ります。山の頂付近には、まだ雪が残っていたり、サクラが咲いているところも。

黒部峡谷鉄道によりますと、去年の乗降客数は53万6000人でコロナ前の8割程度にまで回復。ことしは去年を上回る55万人を目指しています。
4月27日から5月5日までのゴールデンウィークは、すでに1万3500人の予約が入っているということです。

初日も早速、大勢の観光客がー。写真を撮ったり景色を眺めたりと思い思いの時間を過ごしていました。

福井と東京から来た女性2人: 「初めてです。すごいきれいですね。楽しかったです」「湖がきれいで楽しく見させてもらいました。(このためにこちらに?)そうです、トロッコ目的で来ました」

鳥取県から来た夫婦 「駅のところ通りかかったら動いてたんで、乗りたいなと。よかったです乗れて」「壁が近いのでこわかった」

イスラエルから来日した2人: 「この電車とてもいい。自然と峡谷が満喫できました」「開通初日と知らなかったけど、初めて乗ってとっても興奮しました。私を見て、多くの人が手を振ってくれて、まるで芸能人になった気分」

黒部峡谷では、能登半島地震の影響で宇奈月駅からおよそ14キロ上流にある「鐘釣橋」が落石によって破損。

これにより、ことしは例年より5か月遅れての10月1日ごろから全線開通となる予定です。橋ののり面の落石防止工事は4月10日ごろから着手。7月中旬からは橋本体の工事に取り掛かり、9月いっぱいで復旧が完了する見込みです。

黒部峡谷鉄道・営業部・谷本悟さん: 「(当分)途中までの折り返し運転になりますけども、それでも黒部峡谷の美しい景色、これは十分にお楽しみいただけると我々は感じておりますので、ぜひたくさんのお客様にこの黒部峡谷・宇奈月温泉にお越しいただければ」

トロッコ電車は、4月25日から猫又駅まで運転区間を延長し、全線開通は10月1日ごろを予定、その後11月末まで運行されます。

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