【J2第11節プレビュー「上位激突」】「超攻撃的」首位の清水は守備に不安 堅守・仙台は攻撃も上り調子で大ブレイクの予感漂う選手も(1)

大ブレイクの気配が漂い仙台MF相良竜之介  撮影/中地拓也

■清水は「超攻撃的」を支える守備に不安が

J2リーグの今シーズンを占う注目カードが、4月20日に行なわれる。清水エスパルス対ベガルタ仙台(IAIスタジアム日本平)だ。

清水は勝ち点22の首位で、勝点17の仙台は5位につけている。清水が勝てば勝点差は「5」から「8」へひろがり、仙台が勝てば「2」に縮まる。アウェイの仙台は引分けでも悪くないが、清水との勝点差は詰めたい。J1昇格争いへ影響を及ぼす直接対決は、「6ポイントマッチ」と位置づけていいだろう。

清水はスタートダッシュに失敗した昨シーズンを踏まえ、今シーズンはここまで7勝1分2敗の勝点22で首位に立っている。CB鈴木義宜、MF中山克広、FWチアゴ・サンタナらの主力がJ1のクラブへ移籍したものの、新戦力のCB住吉ジェラニレショーン、CB蓮川壮大、MF松崎快、MFルーカス・ブラガらが出場機会をつかみ、戦力を大幅に落とすことなく戦うことができている。17歳のドリブラー西原源樹という新星も登場している。

秋葉忠宏監督が「超攻撃」、「超アグレッシブ」を掲げるスタイルのなかで、チームはここまでリーグ4位タイの16ゴールを記録している。1試合の最多得点は「3」で、攻撃力が爆発した試合はまだ少ない。それでも、1トップに固定されたFW北川航也が4得点、MF乾貴士が3得点、ルーカス・ブラガが2得点と、取るべき選手が取っている。

気になるのはディフェンスだ。昨シーズンはリーグ最少2位の34失点で乗り切ったが、今シーズンはすでに11失点である。上位6チームで、もっとも多いのだ。

秋葉監督は最終ライン中央のコンビを新加入の蓮川と住吉でスタートさせたが、8節からCB高橋祐治と住吉に組み替えている。8節の徳島戦はPKによる1失点にとどめ、9節のヴァンフォーレ甲府戦はクリーンシートと、スタメン変更の効果が表わたかに見えた。しかし、10節のいわきFC戦では2失点と、まだまだ昨シーズンのレベルに到達していない。

■堅守の仙台は攻撃も上向き

一方のベガルタ仙台は、昨年までU-17日本代表を指揮した森山佳郎監督を迎え、4勝5分1敗の5位につけている。7位にとどまった22年は59失点、16位に沈んだ23年は61失点していることから、新監督は守備の構築からチーム作りをスタートさせた。

システムは4-4-2とし、GK林彰洋と4バック、ダブルボランチの長澤和輝と工藤蒼生は開幕節からほぼ固定し、守備ブロックの練度を高めてきた。開幕節は大分トリニータ、2節V・ファーレン長崎と、J1昇格候補とのアウェイ連戦からシーズンがスタートすることを考えても、まずは守備に力点を置いたチーム作りは理に適っていただろう。

その結果、ここまでリーグ最少の6失点でしのいでいる。クリーンシートは5試合を数え、複数失点はシーズン初黒星となった愛媛FC戦のみだ。

攻撃にも少しずつ変化が見られている。ここまで10得点はリーグ最少6位タイだが、ここ4試合はすべて得点をあげており、7節の横浜FC戦、前節のモンテディオ山形戦では複数得点を記録して勝利につなげた。

その過程で、攻撃陣もスタメンが固まってきた。FW中山仁斗を頂点にFW中島元彦がセカンドトップの位置で構え、右に郷家友太、左に相良竜之介が入るカルテットが、森山監督のファーストチョイスとなりつつある。昨シーズンわずか2得点に終わった中山は、すでに3ゴールをマークしている。また、4得点の相良はブレイクの予感を漂わせる。

「超攻撃的」を掲げるホームの清水が、仙台の堅守をいかにこじ開けるか。それこそがこの試合の注目ポイントだが、守備の安定感を得られていない清水から、攻撃陣が固まってきた仙台が得点を奪えるかどうかも、もちろん勝敗を分けることになる。

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