戦争で消滅したと思われていた「幻の本」を発見 ハワイ移民の記録

太平洋戦争が始まる直前に出版された、沖縄からハワイへの移民1世の記録が和歌山県で発見されました。移民に関する戦前の記録はほとんど残っておらず「幻の本」と言われています。

県立図書館が発見した「ハワイ沖縄県人発展史」は、太平洋戦争が始まる直前の1941年にハワイ・カウアイ島の沖縄県人連合会が出版した移民に関する本で、これまでに世界で一冊しか確認されていない貴重な資料です。東京で印刷されたのち、船便でハワイに届けられる予定でしたが、当時、日本の商業船のアメリカへの入港が禁止されたため、流通することなく戦災で消え、その存在は今まで誰にも認知されていませんでした。

本には、沖縄から初めてハワイに移民が到着した1900年からおよそ40年間にわたる人々の歩みのほか、ハワイ全域を調査した移民一世の伝記、596人分が掲載されています。職業遍歴や家族の情報なども詳細に記され、過酷な肉体労働や沖縄人差別と闘いながら生きてきた当時の姿を知ることができます。

ハワイ沖縄連合会ブランドン・ナカソネ会長
「エジプトでファラオの新しい墓が見つかるくらいに、重要な発見です。私はこの本の発見をハワイのみなさんと共有できることに興奮しています。自分たちのルーツを学ぼうと勇気づけられると確信しています」

県立図書館とハワイの図書館などで複製本の閲覧ができるほか、和歌山市民図書館のデジタルアーカイブで全てのページを参照することができます。

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