ドンチッチが頂点に立つ日は来るのか?ブルズ3連覇戦士クーコッチが持論「ルカには、頼りになる選手があと2人は必要」<DUNKSHOOT>

ダラス・マーベリックス(以下マブズ)はレギュラーシーズンを50勝32敗で終え、現地4月20日から始まるプレーオフの第5シードを獲得した。1回戦では第4シードのロサンゼルス・クリッパーズ(51勝31敗)と対戦するが、殿堂入りを果たしている元NBA選手のトニー・クーコッチは、大黒柱ルカ・ドンチッチ以外のタレントが不足していると指摘している。

マブズは今季、NBA6年目を迎えたドンチッチが70試合に出場して平均33.9点、9.2リバウンド、9.8アシスト、3ポイント成功率38.2%とMVP級のパフォーマンスで自身&フランチャイズ初の得点王を獲得。加入2年目のカイリー・アービングも平均25.6点、5.0リバウンド、5.2アシスト、3ポイント成功率41.1%の成績を残し、熾烈なウエスタン・カンファレンスでプレーオフ出場権を勝ち取った。

ドンチッチ入団後の5年で、マブズのプレーオフ最高位は2021-22シーズンのカンファレンス決勝進出(ゴールデンステイト・ウォリアーズに1勝4敗で敗退)。昨季はウエスト11位(38勝44敗)でプレーイン・トーナメントさえ逃した。
2年ぶりのプレーオフで対戦するのは、カワイ・レナード、ポール・ジョージ、ジェームズ・ハーデン、ラッセル・ウエストブルックのスーパースターカルテットを擁するクリッパーズ。レギュラーシーズンの直接対決は1勝2敗と負け越している。

2010-11シーズン以来の優勝を目指すうえで、まずは乗り越えなければいけない壁だが、現役時代にシカゴ・ブルズで3連覇を経験しているクーコッチは、スポーツチャンネル『Sportklub』で、マブズについて「ルカには、あと2人は頼りになる選手が必要だ」と指摘した。

「(3連覇当時の)ブルズにはメインプレーヤーのほかに、クリーブランド(キャバリアーズ)やクリッパーズで偉大な選手だったロン・ハーパーのような存在がいた。ルーク・ロングリーもその1人だ。彼は(パトリック)ユーイング、(アキーム)オラジュワン、シャキール(オニール)のような偉大なビッグマンを守っていた。スティーブ・カーは史上最高の3ポイントシューターの1人だった。3ポイントに関しては、彼をフリーにすれば決めてくれると思っていた。優勝を目指すチームには、本当にいい選手が3~4人は必要だ」

クーコッチが現役時代に所属したブルズは、1996~98年にフランチャイズ史上2度目のリーグ3連覇(1度目は91~93年)を達成。もちろん中心はマイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、デニス・ロッドマンの“三銃士”だったが、ほかにも勝負強い万能シックスマンのクーコッチ、ピュアシューターのカー、守備職人のハーパー、黙々と仕事をこなすセンターのロングリーがおり、彼らを中心としたトライアングル・オフェンスでリーグを席捲した。 とりわけ、キャブズやクリッパーズでは平均20点級の点取り屋として鳴らしていたハーパーは、ブルズ移籍後に成績こそ大幅に落ちたが、エースストッパーとして不動の先発の地位を確立した。

当時を知るクーコッチから見ると、ドンチッチ頼みの傾向があるマブズは優勝するには力不足だと考えているようで、「私の意見では、ダラスは大きな影響を与えられるチーム構成ではない。よりいいチームのデンバー(ナゲッツ/第1シード)やミネソタ(ティンバーウルブズ/第2シード)と対戦しなければいけない。7戦シリーズで、これらのチームを倒せるとは思えない」と見解を述べている。
マブズに関しては、同じく殿堂入り選手のトレイシー・マッグレディも「ダラスはルカの周りに適切なピースを置くという素晴らしい仕事をしたとは思えない。カイリーがいても、ダラスはチャンピオンシップチームではない。もう少し選手が必要だ。いくつかピースが欠けている」と語っている。

果たして、マブズは1回戦でクリッパーズを破って勝ち上がり、周囲を見返せるだろうか。

構成●ダンクシュート編集部

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