群馬・赤城山麓に古民家ホテル3カ所 27日に同時オープン サウナや映像設備など整備

古民家ホテルの一つとして一棟貸しする「清芳山荘」の外観(上)と内装

 山梨、千葉両県で古民家一棟貸し宿を運営する、るうふ(山梨県笛吹市、保要佳江社長)は27日、群馬県前橋市富士見町に古民家ホテル3カ所を同時開業する。市と民間事業者が所有する日本家屋や研修施設を改修し、快適に過ごせる映像設備やサウナなどを整備した。赤城山南麓に宿場町をつくって自然や文化に関心のある観光客を呼び込み、地域の活性化につなげる。

 同社は当初、同市が市民から寄付を受け所有する「旧太田邸」の利活用の公募に、周辺の赤城山一体の魅力を生かした宿泊施設とすることを提案した。優先交渉権者に決まり、事業化に着手した。

 事業を検討する過程で、周辺に利用が少ない企業の保養施設や個人の別荘が集まっていることに着目。旧太田邸に加え、複数の古民家ホテルを立ち上げ、宿泊できる観光拠点「赤城宿」をつくる構想を練った。

 市を通じて近くに物件を所有する事業者を募ったところ、倉庫業の上毛倉庫(同市表町)などで構成する江原本家グループと、スーパーのベイシア(同市亀里町)などを展開するベイシアグループから物件を借り受けることに決まった。

 開業する古民家ホテルは「清芳(せいほう)山荘」「珠蕾(しゅらい)山荘」「旧太田邸」で、伝統的家屋や蔵を一棟貸しするなどして計6組を受け入れる。古民家など建物の特色や季節の風景を味わえる庭園を残し、快適に過ごすための空調やサウナなどをるうふが設置した。家族や友人との利用、グループ研修などを想定する。食事は赤城牛や地場野菜など地産地消にこだわって提供する。

 清芳山荘(1人1泊4万円~)は、江原本家が譲り受けた1913(大正2)年に建てられた邸宅で、85年に現在地に移築した。伝統的な書院造りの日本家屋で、外から和室に見える洋室や吹きガラスの窓など特色がある。しょうゆの醸造や生糸の保管に使われた蔵2棟も2階建て施設に改修して貸し出す。江原有香代表は「歴史ある建物を活用してもらい、地域活性化や観光振興に貢献したい」と力を込める。

 珠蕾山荘(同3万円~)は、ベイシアグループが1986年に開設し、グループ会社の研修施設として利用してきた。モダン風の建物で1日2組利用できる間取りにした。旧太田邸は「The RURA(ザ・ルーラ)」(同2万円~)と名付け、森の中にある2階建て住宅で、バーベキューなども楽しめる。

 るうふホームページで近日中に予約受け付けを始める。担当者は「赤城山は東京からのアクセスが良く、豊かな自然で過ごせる環境は、人気観光地になる可能性を秘めている。滞在を通じて土地の魅力を伝える宿場をつくりたい」と話した。

© 株式会社上毛新聞社